ニューヨーク州、AIアバター広告に開示義務を課す新法を施行

AI生成アバターの広告利用に透明性を義務付け

ニューヨーク州は、広告にAI生成された人物(AIアバター)を使用する場合、その旨を明示することを広告主に義務付ける新法を可決し、キャシー・ホークル知事が署名し施行されました。米国で初の試みとなるこの法律は、消費者保護と透明性の向上を目的としています。

法律の主な内容と適用範囲

新法では、広告に実在しないAIアバターが含まれる場合、その事実を「目立つように」開示することが求められます。違反した場合、初回は1,000ドル、再犯は5,000ドルの罰金が科されます。

また、同時に署名された別の法案では、亡くなった人物の氏名や肖像を商業目的で利用する際に、その相続人や遺言執行者からの同意を得ることが義務付けられました。

適用除外

  • 映画、テレビ番組、ビデオゲームなどの「表現作品」の広告・宣伝素材で、AIアバターの使用が作品の内容と一致する場合。
  • 州の機関が作成した公共サービス広告など、一部のケースでは免除される可能性があります。

業界への影響と背景

これらの法律は、特に映画業界や俳優にとって極めて重要です。AI技術の利用とその報酬に関する問題は、エンターテイメント業界が直面する喫緊の課題の一つとなっています。米国俳優組合(SAG-AFTRA)のダンカン・クラブツリー=アイルランド事務局長は、今回の法案署名を「アーティスト、議員、擁護者が協力して、AIの無制限な使用がもたらす現実的かつ差し迫ったリスクに対処した直接的な結果だ」と評価しました。

今後の展望

今回のニューヨーク州の動きは、AI規制の分野における重要な一歩となります。一方、ドナルド・トランプ前大統領がAI規制に対する州の権限を抑制しようとする動きを見せていることもあり、今後、州レベルでのAI関連法整備の動向が注目されます。


元記事: https://www.theverge.com/news/842848/new-york-law-ai-advertisements-sag-aftra-labor