導入:Redboxの破産と新たな動き
かつてDVDレンタルで名を馳せたRedboxの親会社であるChicken Soup for the Soul Entertainmentの破産手続きが進む中、同社の「IP訴訟資産」が新たな買い手を見つけました。この動きは、デジタル著作権侵害に対する戦いの新たな局面を切り開く可能性があり、特にインターネットサービスプロバイダ(ISP)にとって大きな影響をもたらすかもしれません。
水曜日の裁判所提出書類によると、Grove Street Partnersという企業が、Chicken Soup for the Soul Entertainmentとその子会社が保有する「IP訴訟資産」を1億ドルで買収する提案を行いました。この資産には、主に同社が所有または管理するメディアタイトルに関する著作権侵害、特にデジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反に対する訴訟を追及する権利が含まれています。
新たな訴訟戦略:ISPを標的に
Grove Street Partnersは、以前はGrove Street Fundingとして知られており、そのCEOであるTom Murphy氏によると、同社は知的財産権保有者が著作権侵害訴訟を資金調達し、管理するのを支援しています。彼らの戦略は、単に映画をオンラインで共有する個人を追及するだけでなく、DMCA通知を「弾薬」として利用し、顧客の著作権侵害行為を十分に阻止しなかったとされるISPを標的にすることに重点を置いています。
Murphy氏は2021年のプレゼンテーションで、この戦術について次のように述べています。「ISPは、BitTorrentファイル共有による映画海賊行為によって生じた責任を負うことになります。映画の著作権所有者に対する1作品あたりの推定純損害額は、20万ドルから400万ドルに上ります。」この買収資金は、5年間にわたる分割払いで支払われる予定であり、同社は訴訟費用、デジタル証拠の収集、DMCA通知の管理、そして年間の支払いに対処するための「訴訟資金」を確保しているとMurphy氏は説明しています。
過去の事例と今後の影響
ISPに対する著作権侵害訴訟は、近年増加傾向にあります。最も注目すべき事例の一つは、音楽業界がCox Communicationsを訴えたケースで、2019年には10億ドルの賠償金が命じられましたが、昨年控訴裁判所によって覆され、現在は最高裁判所で審理されています。
Chicken Soup for the Soul Entertainmentの子会社であるScreen Media Venturesも、同様の主張で複数のISPを訴えていましたが、その結果は様々でした。一部の訴訟は現在も係争中ですが、Astound Broadbandの子会社であるGrande Communicationsに対する訴訟は、2023年に取り下げられ、Astound側は「この件を解決するために1セントも支払わなかった」と主張しています。
今回のGrove Street Partnersによる資産買収は、著作権侵害対策の新たな波を引き起こし、ISPが顧客のオンライン活動に対する監視と対応を強化する必要があることを示唆しています。デジタルコンテンツの保護とインターネットの自由な利用のバランスを巡る法廷闘争は、今後も激化するでしょう。
元記事: https://www.theverge.com/tech/791013/redbox-chicken-soup-piracy-lawsuits-ip-sale-grove-street
