RFK Jr.の新食品ピラミッド、環境に壊滅的な影響か – 米国が従えば

トランプ政権下の新食事ガイドラインが波紋

ドナルド・トランプ政権が発表した新たな米国食事ガイドラインは、タンパク質消費の増加と牛脂の使用を奨励しており、環境保護主義者や公衆衛生の専門家から強い懸念が表明されています。「タンパク質との戦いを終わらせる」と銘打たれたこのガイドラインは、赤身肉、チーズ、全乳を主要な食品として提示しており、従来の健康と環境に配慮した勧告から大きく逸脱しています。

推奨されるタンパク質摂取量の増加とその影響

新たなガイドラインでは、1日あたりのタンパク質摂取量を体重1kgあたり約1.2~1.6グラムに引き上げることを推奨しています。これは現在の米国人の平均摂取量よりも最大で25%増加する可能性を秘めています。World Resources Institute (WRI) の試算によると、もし米国人がこの推奨上限に従った場合、年間でカリフォルニア州ほどの広さにあたる最大1億エーカーの追加農地が必要となり、数億トンもの追加的な二酸化炭素排出量に相当する環境負荷が生じると警告しています。

特に、牛などの反芻動物からのタンパク質は、飼育に必要な土地が多く、メタンガス排出という強力な温室効果ガスを伴うため、環境への影響が大きいと指摘されています。

食品産業の現状と環境負荷に関する見解

一方で、カリフォルニア大学デービス校のフランク・ミトロエナー教授は、事態はそこまで悲観的ではないと指摘しています。米国では近年、鶏肉の消費が増加しており、牛肉消費は過去10年間比較的安定しているとのことです。また、乳製品についても、全乳と低脂肪乳で環境への影響が大きく変わるわけではないとしています。教授は、生産効率の向上により、今日の畜産業は1970年代の1億4000万頭の牛で生産していたのと同じ量の牛肉を、9000万頭未満で生産していると述べ、業界全体の効率化が進んでいることが環境負荷の緩和に寄与していると説明しています。

科学的勧告の無視と業界との結びつき

しかし、この新たなガイドラインは、以前の科学パネルの勧告を無視していると批判されています。以前の勧告では、豆類、レンズ豆、ナッツ、種子、大豆製品の摂取を増やし、赤身肉や加工肉の摂取を減らすことが推奨されていました。トランプ政権は、科学的根拠に基づく諮問委員会の推奨の半分以上を却下したと報じられています。さらに、ガイドライン作成に関わったパネルメンバー数名が、牛肉や乳製品業界と金銭的な関係を持っていたことも問題視されており、透明性と客観性に疑問が投げかけられています。

健康への懸念:牛脂と植物油

RFK Jr.は、健康上の理由から「シードオイル(植物油)」ではなく牛脂での調理を推進しています。これは、数十年にわたる科学的証拠が植物油の健康上の利点と飽和脂肪酸を多く含む牛脂、バター、ラードの心血管リスクを示しているにもかかわらずです。米国心臓協会は、牛脂の摂取が心血管疾患のリスクを高める可能性があると警告しており、健康面での懸念も浮上しています。

機関による影響の拡大

ニューヨーク大学の環境学教授であるマシュー・ハエック氏は、個人が連邦の栄養ガイドラインに厳密に従わないとしても、公共学校システムのような大規模な機関がこれに従えば、温室効果ガス排出量の増加と米国人の食生活の質の低下を招く可能性があると指摘しています。このため、ガイドラインが持つ広範な社会的影響に注目が集まっています。


元記事: https://www.theverge.com/report/861326/meat-food-pyramid-protein-nutrition-guideline-climate-beef-whole-milk-tallow