超党派合意の崩壊と「Clarity Act」の現状
米国議会で、暗号資産(仮想通貨)取引の基盤を築くはずだった超党派法案「Clarity Act」が、激化する党派対立の前に崩壊の危機に瀕しています。ザ・ヴァージのティナ・グエン氏によると、中間選挙が差し迫る中、政策立案や超党派協力よりも再選が優先される傾向が強まっており、法案の成立が極めて困難な状況に陥っています。
法案停滞の主要因:中間選挙と政治的対立
法案の停滞には複数の要因が絡んでいます。
- 中間選挙の接近: 議会は今後数週間で選挙モードに突入し、政策議論よりも選挙活動が優先されるため、法案成立への時間は限られています。過去のデータからも、現職大統領の党が中間選挙で議席を失う傾向が強く、民主党が議会の主導権を握る可能性が指摘されています。
- ICE関連事件の影響: アレックス・プレッティ氏の死亡事件とICEの行動に対する国民の怒りが、政治的緊張をさらに高めました。これにより、民主党はICEへの予算提供を含む政府予算案への支持を撤回。この党派対立の激化が、他の政策議論、特に「Clarity Act」にも悪影響を与えています。
- 銀行業界からの強い反発: 法案成立を阻む最大の障壁の一つは、ステーブルコインの発行者が消費者に利回りを提供することに対する銀行業界の強い反対です。銀行は、ステーブルコインが高利回りで競争することによって、顧客の預金が流出することを懸念しています。この問題は、Coinbaseのような主要な暗号資産企業にとって、ビジネスモデルの根幹に関わる大きな問題となっており、法案の行方を左右しています。
デジタル商工会議所のCEOであるコーディ・カーボーン氏は、「クリプト保有者は暗号資産に関して非常に熱心な単一争点有権者であり、政治的には左派傾向だが、暗号資産に友好的な共和党に投票する傾向がある」と述べ、クリプト票が選挙結果を左右する可能性を指摘しています。
議会の権力構造と法案への影響
民主党が中間選挙で議会の主導権を握った場合、「Clarity Act」の成立はさらに絶望的になると見られています。特に、下院金融サービス委員会のマックス・ウォーターズ委員長(民主党)や上院銀行委員会のエリザベス・ウォーレン筆頭委員(民主党)は、暗号資産技術に対して否定的な姿勢を示しており、彼らが委員長に就任した場合、法案推進ではなく、業界への執行強化に焦点を当てる可能性が高いと予測されています。
カーボーン氏は、「民主党が議会を制すれば、トランプ家の暗号資産関連の取引に関する召喚状が大量に発行されるだろう。暗号資産の採用を助けるような法案を可決する意図はなくなるだろう」と述べています。
今後の展望と業界の課題
今週、上院農業委員会で「Clarity Act」の審議が再開される予定ですが、コーリー・ブッカー上院議員(民主党)の動向が極めて重要視されています。彼が法案を支持するか否かで、民主党議員の多くが賛成票を投じるか、あるいは党派的な採決に終わるかが決まるでしょう。
暗号資産業界は、この法案が成立しない場合、規制の不確実性が続き、ビジネス展開に大きな制約を受けることになります。一部の銀行関係者は、ステーブルコインが競争力を持ちすぎることに懸念を示していますが、暗号資産業界側は、銀行自身もステーブルコインを発行し、報酬を提供することで競争できると反論しています。
業界内では、「悪い法案よりは法案がない方が良い」という意見もある一方で、「良い法案を成立させるために交渉のテーブルに着く必要がある」という声も上がっています。もし2026年中に法案が成立しなければ、将来的に後悔することになるだろうと記事は結んでいます。
元記事: https://www.theverge.com/column/868941/clarity-act-congress-shutdown
