予測市場の台頭と現状
近年、PolymarketやKalshiといった予測市場プラットフォームが急速にその存在感を高めています。これらのプラットフォームでは、イーロン・マスクのツイート数から次期米国大統領まで、あらゆる事象の結果に賭けることができます。PolymarketのCEOであるシェイン・コープランド氏は、「予測市場は人類が現在持つ最も正確なものだ」と主張しています。
しかし、こうした市場は、その機能と規制の両面において、ギャンブルと株式取引の境界線を曖昧にしています。ブルームバーグのジョー・ワイゼンタール氏がThe Vergecastで述べたように、「取引、投機、ギャンブルの間のすべての境界線は完全に崩壊している」のが現状です。
ギャンブルか投資か:法規制と倫理的課題
予測市場の拡大に伴い、多くの倫理的懸念が浮上しています。「あらゆることに賭けられる」という仕組みの是非に加え、インサイダー取引の可能性も指摘されています。
例えば、2026年1月には、新たに開設されたPolymarketのアカウントが、ベネズエラの指導者ニコラス・マドゥーロ氏の捕獲に賭けて40万ドル以上を稼ぎました。これは、関係者が内部情報に基づいて取引を行ったのではないかという疑惑を生みました。投資家でポッドキャスターのジョー・ポンプリアーノ氏は、「インサイダー取引は予測市場では許されているだけでなく、奨励されている」とXで指摘しています。
このような状況に対し、各国の規制当局も動きを見せています。ポルトガルは、同国での大統領選挙の結果に1億300万ユーロ(約1億2000万ドル)以上が賭けられたことを受け、Polymarketに対し48時間以内の運営停止を命じました。ポルトガルでは政治的な賭博が違法であり、Polymarketが運営ライセンスを保有していないことが理由とされています。
注目すべき事例とPolymarketを巡る動向
2026年1月3日、米国がベネズエラの首都を爆撃し、マドゥーロ氏とその妻を誘拐、少なくとも80人が死亡するという事態が発生しました。この軍事行動の直前、Polymarketのあるアカウントがマドゥーロ氏の権力離脱に数万ドルを投じ、40万8000ドル以上の利益を得ていました。このアカウントは攻撃のわずか1週間前に作成され、攻撃前日には3万ドル以上を投資していました。
このような疑わしいタイミングでの投資はソーシャルメディアで話題となり、賭けを行った人物が内部情報に基づいていた、あるいはペンタゴンの関係者ではないかとの憶測を呼びました。
また、Polymarketは資金調達においても動向が報じられています。FBIがCEOの自宅を捜索する前に、同社は3500万ドルの評価額で3000万ドルの資金調達ラウンドを密かに実施していたとされています。FBIによる捜索は、最近の大統領選挙でのPolymarketの実績に関連していると見られており、同プラットフォームではドナルド・トランプ氏の勝利を正確に予測していました。
さらに、KalshiとPolymarketはX上で偽ニュースアカウントと提携しているとの報道もあり、予測市場の信頼性に対する懸念が高まっています。
予測市場の未来:AIと規制の行方
予測市場の動向は、テクノロジーの進化とも密接に関連しています。2025年6月には、NBAファイナル中に2,000ドルで制作された完全にAI生成された広告がKalshiによって放映されました。この広告は、オクラホマシティ・サンダーとインディアナ・ペイサーズのどちらがNBAファイナルで優勝するか、今年どれくらいのハリケーンが発生するか、卵の価格が上がるかどうかといった、様々な賭けの対象をAIが生成した奇抜な映像で紹介するものでした。
RobinhoodのCEOであるブラッド・テネフ氏は、予測市場は今後も存在し続けると考えています。同氏は、予測市場が「イベントの展開へのアクセスを民主化する新しいアセットクラス」だと表現しており、従来の金融システムではアクセスできなかった情報や機会を提供する可能性を強調しています。
しかし、金融規制当局からの監視も厳しくなっています。FBIがPolymarket CEOの携帯電話を押収したことや、米司法省がPolymarketを調査しているという報道は、予測市場が今後、より厳しい規制に直面する可能性を示唆しています。ギャンブルと投資の境界線が曖昧になる中で、これらのプラットフォームがどのように進化し、規制当局と共存していくのか、その行方が注目されます。
元記事: https://www.theverge.com/news/868238/prediction-markets-polymarket-kalshi-robinhood
