Hlynur Pálmason監督の新作が問いかける「残された愛」
アイスランドの鬼才Hlynur Pálmason監督が、新たな家族映画『The Love That Remains(原題)』を発表しました。自身の子供たちを起用したこの作品は、離婚によって揺れ動く家族の姿と、人生の根源的な問いを、詩的かつ瑞々しい映像言語で描き出しています。
物語は、AnnaとMagnusが共に築き上げた生活、3人の子供と犬との暮らしから始まりますが、二人の関係は破綻を迎え、離婚の現実に直面します。パルマソン監督の前作である19世紀を舞台にした『Godland』や現代ドラマ『A White, White Day』と同様に、本作もその光り輝く映像美を受け継いでいますが、扱っているテーマは重厚ながらも、トーンはいくぶん軽やかです。作中に登場する犬のパンダは、今年のカンヌ映画祭で実際に「パルム・ドッグ賞」を受賞するというユニークなエピソードも添えられています。
表面上は、離婚を経験しながら家族をどう育てるか、といった「普通の人々の普通の感情と普通の悩み」を描いていますが、その根底には「この全てに一体どんな意味があるのだろう?」「人生とは、そして物事の全てにどんな意味があるのか」という、監督自身の深遠な問いが横たわっています。
『Godland』との対比、そして並行制作の哲学
パルマソン監督は、重厚な時代劇であった『Godland』とは異なるエネルギー、つまりより遊び心のある作品を求めていたと語ります。それは、より小さな予算と少人数のクルーで、自由に撮影できるような作品でした。監督は、アイスランドに帰国後、複数のプロジェクトを並行して進めることで、一つ一つの作品に「より多くの時間」をかける方法を見出したと言います。
「あるプロジェクトで非常に興味深いものが生まれると、それが別のプロジェクトに影響を与えたり、より良いものを作るよう刺激したりするのです」と監督は述べ、複数の作品を手がけることで生まれる相乗効果を肯定的に捉えています。実際、『The Love That Remains』の最初の映像は2017年に撮影されたもので、時には『Godland』と同時期に撮影を行っていたと明かしています。
「残された愛」が問いかける時間の尊さ
本作のタイトルである「The Love That Remains」は、まさに「何が残る愛なのか?」という問いそのものです。監督は、長年の関係が終わりを告げた時に「一体何の意味があったのだろう?」と感じる一方で、時間の尊さ、誰とどのように時間を過ごすかという選択の重要性について深く考察しています。
「時間はおそらく貴重なものだ。なぜなら、それはとても速く過ぎ去るから。だから、愛する人との瞬間を捉えようと努力しなければならない」とパルマソン監督は語り、『Godland』と本作の両方で、時間がどのように流れ、我々に何を残すかというテーマを強く打ち出しています。
直感を重視した制作アプローチと、子供たちとの協働
映画のオープニングシークエンスは、家族のポートレートを映し出し、温かい雰囲気を醸し出しますが、すぐにその内実が「崩壊した家族」であることが明らかになります。監督は、屋根が剥がれる光景を収めた映像からインスピレーションを受け、それが映画の始まりを決定づけたと述べています。彼は、「自分が作りたくないものを知っているが、常に何を作りたいのかを知っているわけではない」という、直感を重視した自身の制作プロセスを明かしました。
本作には、監督自身の子供たちが俳優として出演しています。監督は、デビュー作や短編映画を除いて、常に子供たちと協働してきたため、これは彼にとって非常に自然なことだと言います。「彼らを強制しているわけではありません。もちろん、彼らの仕事には報酬を支払っていますが、彼らもまた、私たちの『映画製作者家族』の一員であることを楽しんでいるのだと思います」
撮影現場は「非常に穏やかで、無理がない」と監督は表現します。アシスタントディレクターからの「急がなければならない」というプレッシャーはなく、納得のいく映像が撮れるまで撮影を続けます。ケータリングも、ヒエラルキーも、椅子も、スクリーンもない、非常にシンプルなセットで制作が行われました。
公開情報
『The Love That Remains』は現在、一部の劇場で公開されています。
元記事: https://www.theverge.com/entertainment/870138/hlynur-palmason-the-love-that-remains-interview
