Adobe Animateが来月提供終了を発表:2Dアニメーション業界に激震、背景にAI戦略か

Adobe Animate、2026年3月1日をもって提供終了へ

アドビは、長年にわたり2Dアニメーション制作の現場を支えてきたソフトウェア「Adobe Animate」の提供を、2026年3月1日をもって終了すると発表しました。同社のウェブサイトに掲載されたFAQによると、この日以降、Animateの新規購入はできなくなります。既存のユーザーは、2027年3月1日まで(法人顧客は2029年3月1日まで)はファイルへのアクセスとダウンロードが可能ですが、それ以降はファイルも利用できなくなるとのことです。

FlashからAnimateへ:歴史あるツールの終焉

Adobe Animateのルーツは、1996年にFutureWave Softwareが発表したベクターグラフィックアプリケーション「FutureSplash Animator」に遡ります。その後Macromediaに買収され「Flash」と改名、2005年にはアドビがMacromediaを買収し「Adobe Flash Professional」となりました。ウェブがFlashからHTML5へと移行する中で、アドビは2015年にFlash Professionalを「Adobe Animate」へとブランド変更し、ウェブアニメーションの新たな可能性を探ってきました。しかし、その歴史あるツールも、ついに終焉を迎えることになります。

「より優れたプラットフォーム」とAIへのシフト

アドビは提供終了の理由として、「ユーザーのニーズにより良く応える新しいプラットフォームの登場」を挙げています。一方で、同社が過去1年間でAI分野に大きく注力していることも明らかです。AIを活用した編集ツール、AIオーディオツール、そしてエンターテインメント業界向けの「IPセーフ」なFirefly AIモデルなど、アドビの戦略がAIへと急速にシフトしていることが背景にあると見られています。Creative Cloud Proの顧客は、Animateの機能の一部をAdobe After EffectsやAdobe Expressで代替できるとアドビは説明しています。

クリエイターからの反発と業界への影響

この決定に対し、多くのアニメーション制作者から懸念と反発の声が上がっています。人気短編アニメシリーズ「Chikn Nuggit」の制作者はX(旧Twitter)への投稿で、「この決定は業界の無数の仕事を奪うだけでなく、多くの過去の作品を失われたメディアにしてしまうだろう」と述べ、Animateを今も使用していることを明かしました。また、「Salad Fingers」のクリエイターであるDavid Firth氏も同アプリのヘビーユーザーであり、Jackbox GamesのテクニカルアーティストであるMegacharlie氏も、Animateが「多くの高予算のテレビアニメ制作、映画・アニメーションスタジオ、大小のゲームスタジオ、そして数千ものインディークリエイターに利用されている」と指摘し、その影響の大きさを訴えています。

AdobeのAI戦略とアニメーションの未来

Adobe Animateの提供終了は、アドビの事業戦略がAI中心へと大きく舵を切っていることを示唆しています。しかし、長年にわたりクリエイターに愛されてきたツールの終焉は、2Dアニメーション業界に大きな波紋を広げるとともに、今後のクリエイティブツールのあり方、そしてAI技術がもたらす変化について、再考を促すものとなりそうです。


元記事: https://www.theverge.com/news/872731/adobe-animate-app-shutdown-date