SpaceX、次世代Super Heavyブースター「V3」の低温耐圧試験を成功裏に完了

SpaceX、次世代Super Heavyブースター「V3」が重要なマイルストーンを達成

SpaceXの次世代ロケット「Starship」のSuper Heavyブースター「V3」が、極めて重要な低温耐圧試験(cryoproof testing)を初めて完了しました。この成功は、同社のStarship開発において大きな前進を意味します。

SpaceXは火曜日のソーシャルメディア投稿で、「Super Heavy V3ブースターで低温耐圧運用を初めて完了しました。この数日間にわたるキャンペーンでは、ブースターの再設計された推進剤システムと構造強度が試験されました」と発表し、その成果を強調しました。

前回の教訓を活かした設計改善

今回の試験が注目されるのは、前回のブースターが圧力試験中に破壊されるという事態に陥ったためです。昨年11月、最初のStarship V3テスト飛行に割り当てられていたブースターは、液体酸素タンクが圧力で破裂し、廃棄されました。この教訓を踏まえ、今回のV3ブースターには、推進剤システムと構造に大幅な再設計が施されました。

地上チームは、テキサス州スターベースの工場から高さ72.3メートルのステンレス製ブースターを移動させ、マッセイ試験サイトで一連のテストを実施。まず常温での圧力試験を行い、その後6日間で4回にわたり、極低温の液体窒素を充填。これにより、ブースターは繰り返される熱と加圧のサイクルにさらされました。液体窒素は、実際の打ち上げ時に使用される極低温メタンと液体酸素の代わりとなります。

V3ブースターの技術的進化

無事にストレス試験を乗り切ったブースターは、月曜日の早い時間帯に工場へ戻されました。今後は、33基のラプターエンジンとグリッドフィンが取り付けられる予定です。これらのコンポーネントは、Starship V2からの変更点が含まれます。

  • Raptor 3エンジン:推力が増強され、信頼性が向上。配管とセンサーがエンジンの主要構造に統合され、エンジン間のヒートシールドが不要になりました。
  • グリッドフィン:V2の4枚から3枚に削減され、降下時の制御性が向上。ロケットが地球に帰還する際の安定化に寄与します。
  • 熱間段分離リング(Hot-staging ring):新しいブースター設計では、ロケットに統合されており、地球帰還時に回収可能となりました。これは以前のStarship飛行では切り離され、使い捨てでした。

今後の展開と宇宙開発への影響

エンジンとグリッドフィンの取り付けが完了した後、Super Heavyブースターはスターベースの打ち上げパッドへ移動し、33基のラプターエンジンのテスト燃焼のためにメタンと液体酸素が充填されます。一方、アップグレードされたStarshipの上段も、マッセイ試験サイトで低温耐圧試験と6基のラプターエンジンの静的燃焼試験を受ける予定です。

すべてが計画通りに進めば、SpaceXは3月末までに初のStarship V3テスト飛行を行う準備が整う可能性があります。これは、Starship/Super Heavy全体で12回目の本格的なテスト飛行となり、過去の飛行と同様に、テキサス州南部からインド洋への制御された再突入と着水を目指すものとみられます。

この次の打ち上げは、Starship V3が軌道上での燃料補給実験を含む、より野心的なテスト飛行に対応できることを証明する上で重要です。軌道上燃料補給は、将来的に月、火星、その他の遠隔地へStarshipを送るための重要なステップと位置付けられています。NASA当局もStarship V3の開発を注視しており、燃料補給の実証はアルテミス月面計画のクリティカルパス上にあるとされています。有人仕様のStarshipは、アルテミスIIIミッションで宇宙飛行士を月面へ輸送するためのNASAの主要な選択肢となっています。


元記事: https://arstechnica.com/space/2026/02/spacexs-starbase-is-coming-alive-again-after-a-lull-in-starship-testing/