国土安全保障省、CISAサイバースタッフ「数百人」をトランプ政権の強制送還対策に再配置

概要:サイバーセキュリティ要員が移民対策へ

米国国土安全保障省(DHS)は、トランプ政権の広範な移民強制送還対策を支援するため、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)のサイバースタッフ「数百人」を再配置しています。報道によると、この命令に従わない職員は解雇される可能性もあるとのことです。この動きは、米国のサイバーセキュリティ体制に深刻な懸念を投げかけています。

再配置の詳細と影響を受ける部門

ブルームバーグとNextgovの報道によれば、DHSはCISAの職員を、移民・関税執行局(ICE)や税関・国境警備局(CBP)を含む連邦政府内の他の機関に異動させました。これらのCISA職員の多くは、連邦政府機関や重要インフラがサイバー脅威から身を守るためのサイバーガイダンスの発行に重点を置いていました。

特に影響を受けているのは、連邦機関のサイバーセキュリティ態勢向上を支援する「能力構築部門」と、国際機関や組織との連携を主導する「利害関係者エンゲージメント部門」のスタッフです。さらに、一部のCISA職員は、ICEやCBPと連携して強制送還を行う警察部隊である連邦保護サービスにも異動させられています。

移民政策の背景とサイバー脅威の増大

トランプ政権は、就任以来、移民執行を主要な政策として掲げてきました。7月には、ICEによる強制送還を支援するために1500億ドルの税金が承認されています。この資金の多くは、スパイウェア、データブローカー、位置情報データなどの技術を駆使し、米国内の数百万人の個人を追跡するために使用される予定です。

今回の再配置は、米国が民間企業や連邦政府を標的としたハッキングの波に直面している中で行われました。最近の事例としては、以下のものが挙げられます。

  • 英語圏の犯罪組織が、Salesforceデータベースに顧客情報を保存している数十社から大量のデータを盗難。
  • ロシア人ハッカーが、米連邦裁判所システムから封印された文書を盗難。
  • 今年初めには、SharePointのバグにより、米連邦政府の複数の省庁(核兵器備蓄のセキュリティ維持を担当する機関を含む)が侵害された。

DHSの公式見解と残る疑問

国土安全保障省のトリシア・マクラフリン次官補はTechCrunchへの電子メール声明で、同省は「すべての主要任務分野で継続性を確保しつつ、任務の優先順位に合わせて日常的に人員を調整している」と述べ、数百人のスタッフが再配置されるというメディアの報道を否定しませんでした。

マクラフリン氏は、「これらの再配置によって、わが国への脅威に対処する準備がDHSにできていないという考えはばかげている」と強調しました。しかし、TechCrunchからの質問に対し、再配置されたCISAの役職が補充されるのか、それとも空席のままになるのかについては言及を避けました。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/10/homeland-security-reassigns-hundreds-of-cisa-cyber-staffers-to-support-trumps-deportation-crackdown/