投資家が210億ドルを投じ、エネルギー転換の「揺るぎない未来」に賭ける

逆風下の巨額投資:エネルギー転換の未来は揺るがない

エネルギー転換は現在、逆風にさらされているように見えます。米議会の共和党はクリーンエネルギーへの税額控除を廃止し、トランプ政権は数十億ドル規模の助成金を取り消すと脅しています。しかし、これらの逆風にもかかわらず、エネルギー転換の未来が揺るぎないものであることを示す強力な兆候があります。

投資家のセンチメントは依然として強く、2つの新しいファンドの規模から判断すると、その確信は明らかです。そして、より多くの起業家がこの分野に参入しています。つまり、人々や組織は、エネルギー転換が消え去ることはないという確信のもと、資金と時間を投じているのです。

主要ファンドの動向:持続可能な成長への確信

今週、カナダのインフラ・資産運用大手であるブルックフィールドは、第2次エネルギー転換ファンドとして200億ドルを調達したと発表しました。ブルックフィールドはすでにそのうち50億ドルを、太陽光、風力、バッテリー貯蔵に焦点を当てた再生可能エネルギープロジェクトや開発業者に投資しています。注目すべきは、2021年の第1次ファンドと比較して、今回33%も多くの資金を調達した点です。当時はゼロ金利と好景気により、クリーンエネルギーがバブルに突入するのではないかという憶測もありましたが、今回の調達は、より冷静な時期に行われたにもかかわらず、リミテッドパートナーが持続可能な成長を確信していることを示唆しています。

また今週、エナジー・インパクト・パートナーズ(EIP)は、第3次旗艦ファンドを13.6億ドルのコミットメントでクローズしたと発表しました。これは前回のファンドより約40%大きい規模です。EIPは、初期段階のスタートアップがその実力を証明した後に投資するベンチャーファンドであり、PitchBookによると、投資するラウンドの中央値は2600万ドルです。EIPはすでに、分散型エネルギー資源の管理を支援するGridBeyondや、消費者向けヒートポンプメーカーのQuiltなどの企業に、新しいファンドの約4分の1を投資しています。

気候テック分野の成長と長期的なコミットメント

「気候テック」と呼ばれるこの分野では、過去5年間で新しい起業家が急増しています。これは、多くの人々にとって無視できないほど深刻化した気候変動が原動力となっています。初期段階のスタートアップの全てが生き残るわけではありませんが、十分に多くの企業が成功を収めており、投資家は彼らの次の成長段階に資金を供給する機会を見出しています。

過去10年間で発展してきた投資トレンドは依然として強力です。2014年以降、年金基金や大学基金のような大規模なリミテッドパートナーは、エネルギー転換に約1兆ドルをコミットしてきました。気候テック分野のVCは昨年と同程度の資金を調達する見込みですが、広範なベンチャー業界を上回るペースで、より大きな割合のコミットメントを確保しています。PitchBookによると、今年、彼らは全ベンチャーキャピタルの3.8%を調達しており、これは2020年のほぼ2倍にあたります。

世界的な展望:エネルギー転換の「不可避な」進展

米国では短期的な逆風が存在します。トランプ政権はエネルギー転換の考えに公然と反対しており、これまでの進展を損なうために最善を尽くしています。その結果、国際エネルギー機関(IEA)は、米国の再生可能エネルギー導入予測を下方修正し、現在から2030年までの導入量が昨年の予測より45%低くなると予測しています。

しかし、それにもかかわらず、世界の再生可能エネルギー容量は2030年までに倍増すると予想されており、中国、インド、EU、サハラ以南のアフリカでの太陽光発電設備の設置がその牽引役となります。IEAだけでなく、DNVのアナリストも、再生可能エネルギーが2040年までに世界の電力の65%を供給し、2060年までにはほぼ全てを供給すると予測しています。

DNVは、これだけでは2050年までにネットゼロ排出量を達成するには不十分だと述べていますが、転換期には常に浮き沈みがあるものです。しかし、現在の勢いは、再生可能エネルギーの増加を支持しており、その未来は安全かつ不可避であると見られています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/10/investors-are-betting-21-billion-that-the-energy-transition-isnt-going-away/