ニューヨーク州、AIによる家賃価格操作を禁止 – 賃貸市場の公正性確保へ

AIによる家賃価格操作の禁止

ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、AIを活用した家賃価格設定ソフトウェアの使用を禁止する法案に署名しました。これにより、ニューヨーク州は、家主によるアルゴリズムを用いた価格設定を州レベルで禁止する初の州となります。これは、ジャージーシティ、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトルなど、いくつかの都市で既に導入されている市レベルの禁止措置に続くものです。

賃貸市場への影響と法案の背景

RealPageのようなソフトウェア企業は、家主に対して家賃設定アルゴリズムを提供しており、これにより「各物件で最高の利回り、または家賃と入居率の組み合わせを最適化」できると謳っています。しかし、ホークル知事は、これらの「プライベートデータアルゴリズム」が「歴史的な住宅供給と手頃な価格の危機」の中で賃貸市場を歪め、借り手に損害を与えていると指摘しています。

知事のプレスリリースによると、このソフトウェアの使用は、2024年に米国のテナントに約38億ドルの損害を与えたとされています。2022年のProPublicaの調査では、RealPageのアルゴリズムが全米の家賃高騰と関連していることが明らかになり、その2年後には米国政府がRealPageを提訴しています。

法案の具体的な内容と目的

この新法は、ソフトウェアによる賃貸条件の設定を違法とするだけでなく、当該ソフトウェアを使用する不動産所有者を共謀と見なすと定めています。つまり、2人以上の賃貸物件所有者または管理者がアルゴリズムを用いて家賃を設定した場合、彼らが「意図的に、または無謀な無視をもって」そうしたかどうかにかかわらず、互いに競争しないことを選択したと見なされるのです。これは、単にソフトウェアを使用することとは異なる、明確な違反行為となります。

アメリカ経済自由プロジェクトの州・地方政策ディレクターであるパット・ガロファロ氏は、この法案が借り手を「アルゴリズムによる価格共謀」から保護すると述べました。また、法案の共同提案者であるブラッド・ホイルマン=シガル州上院議員は、「この法案は、AIによる家賃価格操作が違法であることを明確にするために、独占禁止法を更新し、連邦政府が反競争的行為や価格固定につながると判断した行動に対する境界線を確保する」とコメントしています。

この法律は、60日後に施行されます。


元記事: https://www.theverge.com/news/801205/new-york-rent-price-fixing-ban-software