概要
Salesforceの共同創設者兼CEOであるマーク・ベニオフ氏が、サンフランシスコへの州兵派遣を求める自身の発言について謝罪しました。この発言は、先週のニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでなされ、テック業界内外で大きな物議を醸していました。
物議を醸した発言の背景
ベニオフ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、ドナルド・トランプ大統領のサンフランシスコへの州兵派遣の脅威を支持する姿勢を示し、トランプ大統領が「素晴らしい仕事をしている」とまで述べていました。この発言は、同社がサンフランシスコで開催した大規模なカンファレンス「Dreamforce」における公衆の安全コストへの懸念から生じたものとされています。しかし、この政治的な発言は、長年の協力者や民主党の政治家からの強い反発を招きました。
批判と謝罪
ベニオフ氏の発言に対し、著名なベンチャーキャピタリストであるロン・コンウェイ氏はSalesforce Foundationの理事を辞任し、「長年尊敬してきた人物とはほとんど認識できない」とメールで伝えたと報じられています。また、サンフランシスコを代表する州上院議員スコット・ウィーナー氏も懸念を表明しました。
これらの批判を受け、ベニオフ氏はX（旧Twitter）への投稿で謝罪し、発言を撤回しました。彼は次のように述べています。
- 「サンフランシスコ市民と地元当局者の意見を注意深く聞いた結果、そして史上最大かつ最も安全なDreamforceが開催された今、サンフランシスコの安全のために州兵が必要だとは考えていません。」
- 「私の以前の発言は、イベントに対する過剰な警戒心から出たものであり、ご心配をおかけしたことを心からお詫び申し上げます。」
ウィーナー上院議員は、ベニオフ氏が州兵派遣の呼びかけを撤回したことに感謝の意を示しました。
テック業界と政治的発言の影響
ベニオフ氏の今回の発言と、その後の撤回は、テック業界の幹部たちの間で広がる政治的右傾化という大きな流れの中で注目されています。彼のトランプ大統領への支持表明は、テック業界のリーダーが公衆の安全や政治的スタンスについて発言する際の影響力の大きさを浮き彫りにしました。特に、都市の治安維持というデリケートな問題に対する発言は、市民感情や政治的対立に直接的な影響を与える可能性があります。
今後の展望
今回の謝罪により、ベニオフ氏はサンフランシスコのコミュニティとの関係修復に努める姿勢を示しました。しかし、テック業界のリーダーが政治的な発言を行うことの是非や、その影響については、今後も議論が続くことでしょう。公衆の安全と企業イベントの運営、そして政治的スタンスの表明という複雑なバランスが、引き続きテック業界の課題となりそうです。