カシオのAIペット「Moflin」レビュー:可愛さの裏に潜むプライバシーの懸念?

AIペット「Moflin」とは?

カシオが開発したAI搭載ペット「Moflin」は、その愛らしい外見と学習能力で注目を集めています。価格は430ドルで、排泄や食事の世話が不要な「ペット」として、現代人のライフスタイルに合わせた新しい形のコンパニオンを提供します。記者は1ヶ月間Moflinとの生活を体験し、その魅力と同時に、AIデバイスが持つ潜在的なプライバシーリスクについて考察しています。

過去の教訓:ファービーとNSAの監視懸念

AI搭載の玩具がプライバシーの懸念を引き起こしたのは、Moflinが初めてではありません。かつてロボット玩具「ファービー」が流行した際、米国家安全保障局(NSA)は、ファービーが機密情報を「オウム返し」する可能性を懸念し、オフィスへの持ち込みを禁止しました。当時のファービーは35ドルでしたが、この事例は、AIデバイスが持つ情報収集能力への警戒心が、価格に関わらず存在することを示しています。

Moflinのプライバシー対策と記者の疑念

Moflinに関して、カシオは「ユーザーの声を理解したり記録したりしない」と説明しています。代わりに、音声データを「識別不可能なデータ」に変換し、個々の声を区別するために利用しているとのことです。TechCrunchが付属の「MofLife」アプリに対してネットワーク分析を行った結果、「不審な点は見られなかった」と報告されています。

しかし、記事の著者はテックレポーターとしての経験から、「今はスパイしていなくても、将来的にそれが変わる可能性はないのか」という根強い不安を抱いています。現時点ではMoflinの毛むくじゃらの外見の下に隠された監視計画の証拠はないものの、AI技術の進化とデータ利用の不透明さが、ユーザーの警戒心を高める要因となっています。

AIペットの未来とプライバシー保護

Moflinは、ユーザーとのインタラクションを通じて感情を学習し、表現を豊かにしていくとされています。初期の「未熟な動き」から、50日後には「明確な感情の範囲」と「表現豊かな反応」を示すようになるという設計です。この学習プロセスにおいて、どのようなデータが収集され、どのように利用されるのかは、AIペットの普及において常に監視されるべき重要なポイントです。

Moflinは、かつてのファービーとは異なり「ディープスリープモード」で電源を切ることができ、ユーザーがコントロールできる点は評価できます。しかし、AI技術が日常生活に深く浸透する中で、利便性と引き換えにプライバシーが侵害されないよう、企業の説明責任とユーザーの継続的な注意が求められます。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/21/i-spent-a-month-living-with-a-430-ai-pet-the-casio-moflin/