Rivian、株主集団訴訟で2億5000万ドルの和解金支払いへ

リビアン、株主集団訴訟で和解

電気自動車メーカーのRivianは、2022年のR1ピックアップトラックおよびSUVの価格引き上げ後に提起された株主集団訴訟に対し、2億5000万ドル(約375億円)を支払うことで和解に合意しました。この和解は、同社の財務健全性と投資家への透明性に関する懸念を浮き彫りにしています。

訴訟の背景:価格引き上げと情報開示の疑惑

この訴訟は、Rivianが2021年の新規株式公開(IPO)に先立つ規制当局への提出書類において、R1 EVの製造コストに関して誤解を招くような記述や数字を含んでいたと主張しています。2022年3月、Rivianはサプライチェーンの不足やインフレを理由にR1の価格を約20%引き上げましたが、既存の予約注文者にも適用したことで顧客からの強い反発を招き、後に予約注文者への価格引き上げを撤回しました。この価格引き上げ発表は、同社の株価を急落させ、株主に損失をもたらしました。株主のチャールズ・ラリー・クルーズ氏は、同社がIPO文書でR1車両の真の製造コストを偽っていたと主張し、訴訟を提起。この訴訟は2024年7月に集団訴訟として認定されていました。

和解の詳細とリビアンの対応

Rivianは、和解金2億5000万ドルのうち、6700万ドルを役員賠償責任保険から、残りの1億8300万ドルを自己の現金準備金から支払う予定です。同社は6月30日時点で48億ドルの現金および現金同等物を保有しており、この支払い能力は確保されています。Rivianはプレスリリースで、この和解が「過失や不正行為の認容ではない」と述べ、訴訟の申し立てを否定しています。この和解は、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所の裁判官による承認を必要とします。

企業戦略への影響と今後の展望

この和解は、Rivianにとって重要な時期に訪れました。同社は2026年に第2世代EVであるR2 SUVの発売を控えており、これはR1ラインアップよりも大幅に安価で、年間15万台の生産を目指しています。一方で、R1の販売は低迷しており、2025年の出荷台数は2023年や2024年を下回ると予想されています。さらに、トランプ大統領の関税や連邦EV税額控除の喪失が市場を複雑化させています。今週、同社はリストラの一環として600人以上の従業員を解雇し、CEOのRJスカリンジ氏が暫定最高マーケティング責任者も兼任するなど、経営の立て直しを図っています。今回の和解は、同社の財務状況に一定の負担をかけるものの、将来の成長戦略に集中するための法的リスクを軽減するものと見られます。

投資家信頼の回復に向けて

今回の和解は、企業が投資家に対して提供する情報の正確性と透明性の重要性を改めて示唆しています。Rivianが今後、R2の成功と経営の安定化を通じて、失われた投資家の信頼をどのように回復していくかが注目されます。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/24/rivian-will-pay-250m-to-settle-lawsuit-over-r1-price-hike/