提携の概要
著名なベンチャーキャピタルであるAccelとProsusは、インドの初期段階スタートアップを支援するための新たな投資パートナーシップを発表しました。この提携は、インドの一般大衆に貢献する大規模なソリューションを構築する創業者を対象としています。特に注目すべきは、Prosusが初めて創業初期段階の企業に投資を行う点です。
両社は、以下の分野でシステム的な課題に取り組む企業に共同で投資します。
- オートメーション
- エネルギー転換
- インターネットサービス
- 製造業
初期投資額は10万ドルから100万ドルで、将来的には増額される可能性もあります。
インド市場の可能性
世界で最も人口の多い国であるインドは、デジタル経済の急速な成長を遂げています。10億人以上のインターネットユーザーと7億人以上のスマートフォンユーザーを抱え、中国に次ぐ世界第2位のスマートフォン市場となっています。インド政府が支援する統一決済インターフェース(UPI)やAadhaarのようなプラットフォームは、スタートアップがサービスを迅速に構築し、規模を拡大するためのデジタルインフラを整備してきました。
これまでのインドのスタートアップ活動は、グローバルなビジネスモデルの適応に重点が置かれてきましたが、今回のAccelとProsusの提携は、国内の大規模な課題に取り組む企業を育成することを目指しています。
投資戦略と目標
このパートナーシップは、Accelの早期段階創業者プログラム「Atoms X」を拡大するものです。Atoms Xは、大規模なシステム駆動型問題に取り組む「リープテック」スタートアップを支援しています。AccelのパートナーであるPratik Agarwal氏は、「インドのスタートアップエコシステムが、グローバルビジネスの適応から、インドが先進国への道を飛躍的に進めるためのインド独自のモデルを創造する時期に来ている」と述べています。
Prosusのインドエコシステム責任者であるAshutosh Sharma氏は、この提携の目的は、将来のSwiggy、Meesho、iFood、Tencentとなる企業を早期に特定することにあると強調しています。Prosusは、初期ラウンドでの同等の株式取得にはこだわらず、長期的な成長と影響力を重視しています。
インドの「リープテック」革命と地政学的意義
Sharma氏は、AI主導の変革が世界中で進む中、インドが「リープテック」革命を通じて、AI分野だけでなく、それ以外の分野でも正当な地位を確立できるかどうかが重要であると指摘しています。この提携は、地政学的な緊張が高まり、資本の流れや技術サプライチェーンが混乱する中で、インドが安全かつ大規模に資本を投入できる戦略的な優先事項として認識されていることを示しています。
AccelのAgarwal氏は、「インドのグローバル経済および地政学的システムにおける地位は、インドが自立した独立した先進国としての道を加速させる必要があることを意味する」と述べ、この提携がインドの国家的な発展と経済的自律性に貢献する可能性を強調しています。
市場の動向と展望
Tracxnのデータによると、2025年上半期のインドにおけるVC資金調達は前年比25%減の48億ドルとなりましたが、インドは依然として世界の投資家にとって重要な焦点であり続けています。AccelはすでにAtomsプログラムを通じて40以上のスタートアップを支援しており、その30%以上が外部投資家からの追加資金調達に成功しています。
今回のAccelとProsusの提携は、グローバルVCがインドに長期的な賭けを続けている最新の事例であり、インドのデジタルインフラの拡大と技術人材の深化が、その魅力の源となっています。
