NVIDIAとQualcommがインドのディープテック投資連合に参画:技術主権確立へ

インドのディープテックエコシステムへの戦略的投資

NVIDIAとQualcomm Venturesは、インドのディープテックスタートアップを支援する米国およびインドの投資家連合に加わりました。この動きは、インド政府が推進する1兆ルピー(約120億ドル)の研究開発イニシアチブと時期を同じくしており、インドの技術主権確立に向けた重要な一歩と見られています。

Qualcomm Venturesは、6つのインドのベンチャー企業と共に、総額8億5,000万ドル以上の追加資金をコミットしました。一方、NVIDIAは資金的なコミットメントなしに、戦略的技術アドバイザーとして連合に参加します。

技術主権確立に向けたインドの挑戦

インドのスタートアップエコシステムは、近年、より複雑なインフラ規模の問題解決へと焦点を移しています。これには、衛星打ち上げ、電動輸送、そして半導体設計といった分野が含まれ、これらは国家の技術主権を確保する上で不可欠です。

インド政府は、主要経済国が技術的優位性を競う中で、このシフトを加速させようとしています。しかし、ディープテック分野は、従来のセクターと比較して長い育成期間を要するため、資金調達が困難な状況にありました。

主要プレイヤーとその役割

このギャップを埋めるため、シリコンバレーとインドを拠点とするCelesta Capitalが主導し、インド・ディープテック・アライアンス(IDTA)が発足しました。当初の7社に加え、Activate AI、Chiratae Ventures、InfoEdge Ventures、Kalaari Capital、Singularity Holdings、YourNest Venture Capitalといったインドのベンチャー企業が新たに加わっています。

  • NVIDIA: AIおよびアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームの統合に関する助言、技術トレーニング、業界と政府間の政策対話への貢献を通じて、戦略的かつ技術的なガイダンスを提供します。
  • Qualcomm Ventures: 2008年以来インドに投資実績があり、資金提供に加え、スタートアップを自社のポートフォリオ企業、パートナーネットワーク、社内チームと繋ぐ支援を行います。

この連合は、今後5年から10年間でインドのディープテックスタートアップに資金提供、メンターシップ、ネットワークアクセスを提供することを目指しています。

政府のRDIスキームとの連携

インド政府が今年承認し、モディ首相が今週発表した1兆ルピーのRDIスキームは、エネルギー安全保障、量子コンピューティング、ロボット工学、宇宙技術、バイオテクノロジー、AIといった分野のプロジェクトに、長期融資や株式投資を通じて資金を提供します。

IDTAの参加企業は、この政府イニシアチブと連携し、インドを拠点とするディープテックスタートアップを支援することで、インドのディープテックエコシステムの創造と形成を推進する極めて重要な瞬間と捉えています。

今後の展望と課題

IT業界団体Nasscomとグローバルコンサルティング企業Zinnovの報告によると、2024年のインドのディープテック資金調達額は16億ドルに達し、前年比78%増となりました。この成長は有望であるものの、先進国市場、特に米国と比較すると依然として低い水準です。

IDTAは「協力的な緩やかな連合」であり、各参加者は独自のプログラムを継続します。個々の資金貢献額は不明ですが、このアライアンスはインドのスタートアップエコシステムへの世界的な注目を集め、さらなる投資家や企業ベンチャーファンドを呼び込むことが期待されています。これにより、「ロールモデル」となる企業が創出され、将来的に科学技術志向の企業が主要取引所に上場する可能性を秘めています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/04/nvidia-qualcomm-join-u-s-indian-vcs-to-help-build-indias-next-deep-tech-startups/