はじめに:Gemini AIがスマートホームセキュリティを革新
Googleは本日、AIを搭載した新型Nestデバイスのラインナップを発表しました。これには、新しいNest Cam Outdoor(149.99ドル)、Nest Cam Indoor(99.99ドル)、そしてNest Doorbell(179.99ドル)が含まれます。これらのデバイスは、GoogleのAIアシスタントであるGemini AIをスマートホームに統合し、セキュリティと利便性を大幅に向上させることを目的としています。
ハードウェアの進化:高精細な監視と広視野角
新製品はすべて、これまでのGoogle製品で最高解像度となる2K HDRビデオに対応し、より鮮明な映像を提供します。Googleは、このセンサーがGeminiモデルの進化に対応できるレベルの忠実度を提供すると述べています。また、ユーザーが車のナンバープレートのような細部までズームして確認できる能力と、データ消費量のバランスを考慮しています。
- 広角・高視野角:カメラは152度の対角視野、ドアホンは166度の視野角と1:1のアスペクト比を提供し、玄関に立つ人物の頭から足元、そしてその左右の荷物まで、より詳細な状況を捉えることが可能です。
- 低照度性能の向上:新しいセンサーと広い開口部により、旧モデルと比較して120%の光感度向上を実現。夜明けや夕暮れ時でもフルカラーモードを長く維持し、完全な暗闇では赤外線ビジョンで監視します。
- スマートなプレビュー:イベント発生時には、トリガーとなった対象にズームインしたプレビュー画像が表示され、何がアラートを引き起こしたかを瞬時に把握できます。また、ドアホンの視野を特定のエリアに固定してズーム・クロップすることも可能です。
Gemini AIによるスマートなセキュリティ通知
Googleが競合他社との差別化を図る最大のポイントは、Gemini AIの機能とベースライン機能の改善です。無料ティアのイベント履歴は3時間から6時間に倍増し、各イベントには10秒のビデオが添付されます。
Geminiは、通知をよりスマートに、文脈豊かにすることで、ユーザーの負担を軽減します。従来の「動きを検知しました」といった一般的なアラートではなく、Geminiは「犬がベビーサークルから飛び出しました」といった具体的な状況を通知し、ズームインされたビデオプレビューで確認できます。
Google HomeおよびNestの最高製品責任者であるAnish Kattukaran氏は、「Geminiはマルチモーダルであるため、ビデオ内で何が起こっているかを実際に解析し、解釈することができます」と説明しています。これにより、「人物を検知しました」や「荷物が配達されました」といった通知が、「FedExの配達員が荷物を玄関に置いて立ち去る」といった詳細な情報に変わります。
Home BriefとAIによる自動化
Google Homeアプリの新機能「Home Brief」は、過去24時間分の活動を要約して提供します。これにより、配達された荷物、コーヒーテーブルを倒したのが犬だったのか、誰が立ち寄ったのかなど、見逃した出来事を一目で確認できます。ユーザーはGeminiに、ブリーフを長くしたり短くしたり、子供やペットに焦点を当てるよう指示することも可能です。
さらに、Geminiはホームオートメーションのような複雑な機能の活用も支援します。例えば、「家でより安全だと感じたい」と漠然と伝えるだけで、AIがブラインドを閉めたり、ドアをロックしたり、留守中に照明を自動でオンオフして在宅を装うルーティンを設定する方法を提案してくれます。
プライバシーとセキュリティへの配慮
Googleは、ユーザーのプライバシーとセキュリティにも引き続き注力しています。
- カメラが映像を処理またはストリーミングしている際には、緑色のライトが表示されます。
- 暗号化されたビデオ、二段階認証を提供。
- ユーザーのビデオ映像が、広告ターゲティングやパーソナライゼーションなどの他の目的で利用されることはないと明言しています。
価格、提供地域、そして新たな選択肢
新製品は、主要小売店およびGoogleストアで販売されます。Nestカメラは米国、カナダ、オーストラリア、日本、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、スイス、オーストリア、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドで利用可能です。新しいNest Doorbellは米国とカナダで提供されます。
より幅広い層の消費者を惹きつけるため、GoogleはWalmartと提携し、より手頃な価格の「onn」ブランドのカメラとドアホンも発売します。これらは1080pのライブビュー解像度を提供し、有料サブスクリプションでGeminiのインテリジェント機能が利用可能になります。
Nest AwareからGoogle Home Premiumへ
既存のNest Awareサブスクリプションは「Google Home Premium」にリブランドされますが、ティアと価格は変更ありません(Standardが月額10ドル、Advancedが月額20ドル)。Google Home Premiumは、Google Oneサブスクリプションにも追加費用なしで提供され、Google AI Proティア(月額20ドル)のユーザーはStandardが、Google AI Ultraユーザー(月額250ドル)はAdvancedが無料で利用できます。
アプリ体験の統合
最後に、ユーザーは今後、NestモバイルアプリとGoogle Homeアプリを切り替える必要がなくなります。すべての機能がGoogle Homeアプリに統合され、よりシームレスなユーザー体験が提供されます。Nestアプリはすぐに廃止されるわけではなく、GoogleはNestユーザーがスムーズに移行できるよう取り組むとしています。