AWS、AIモデル「Nova 2」ファミリーと「Nova Forge」を発表
Amazon Web Services (AWS) は、自社開発のAIモデル群「Nova 2」と、企業顧客が独自のカスタムバージョンを構築できる新サービス「Nova Forge」を発表しました。この発表は、12月2日(現地時間)に行われたAWS CEOマット・ガーマン氏のAWS Re:Invent基調講演で行われました。
昨年、AWSは初のNovaモデルを発表し、テキスト生成モデル4種と画像生成モデル1種をリリースしています。現在では、Novaは数万の顧客に利用されており、マーケティング大手からInfosys、Blue Origin、Robinhoodといったテクノロジーリーダー、そしてNinjaTech AIのような革新的なスタートアップまで、幅広い企業に採用されています。
進化したAIモデル「Nova 2」ファミリー
今回発表された「Nova 2」ファミリーは、既存モデルのアップグレードと新たな機能を持つ4種類のモデルで構成されており、さらに多様なタスクへの対応が可能となります。
- Nova 2 Lite: コスト効率の高い推論モデルで、テキスト、画像、動画を処理し、日常的なタスク向けのテキストを生成します。
- Nova 2 Pro: 高度な推論エージェントで、テキスト、画像、動画、音声の処理に対応し、コーディングのような非常に複雑なタスクのために設計されています。
- Nova 2 Sonic: 会話型AIに特化した新しい音声対音声モデルです。
- Nova 2 Omni: マルチモーダルな推論および生成モデルで、画像、テキスト、動画、音声の入力に対応し、テキストと画像の両方を生成できます。
企業向けカスタムAIモデル構築サービス「Nova Forge」
モデルのアップグレードと並行して、AWSは新サービス「Nova Forge」も発表しました。このサービスは、AWSのクラウド顧客が年間10万ドル(CNBC報道による)で、AWS Novaモデルのフロンティア版である「Novellas」を独自に構築できるようにするものです。
Nova Forgeを利用することで、企業は事前に学習済み、中間学習済み、または事後学習済みのモデルにアクセスし、それらを自社の独自データで追加学習(ファインチューニング)できるようになります。
企業AI導入における「忘却問題」の解決へ
マット・ガーマンCEOは、企業が独自のデータを既存のAIモデルに組み込む際に生じる課題、特に「モデルが以前に学習した主要な推論を忘れがちになる」という問題にNova Forgeが対応すると説明しました。
ガーマン氏は、「モデルをカスタマイズし、多くのデータを追加学習すると、モデルは初期に学習した興味深いこと、つまり核となる推論の一部を忘れがちになります」と述べ、これを「人間が新しい言語を学ぶようなもの」と例えました。「若い頃に始めると比較的簡単に習得できますが、人生の後半で新しい言語を学ぼうとすると、実際にははるかに難しくなります。モデルの学習もこれと似ています。」と語り、Nova Forgeがこの問題の解決に寄与する見込みを示しました。
Reddit、Sony、Booking.comなどの企業が、すでにNova Forgeの早期採用顧客となっています。
