WordPressの実験的AIツール「Telex」が早くも実用段階へ
WordPressの実験的なAI開発ツールである「Telex」が、2025年9月の登場からわずか数ヶ月で既に実世界での活用が始まっていることが明らかになりました。WordPressプロジェクトの共同創設者であり、AutomatticのCEOであるマット・マレンウェッグ氏が、サンフランシスコで開催された年次イベント「State of the Word」で、TelexがWordPressサイト内でどのように使用されているかを示す複数の具体例を共有しました。
Telexとは何か?その革新性
マレンウェッグ氏は以前、Telexを「WordPressに特化したv0またはLovable」と表現しました。これは、AI時代におけるWordPress独自の「vibe-coding」ツールであり、開発者がWordPressウェブサイトを構成するモジュール式のテキスト、画像、カラムなどのGutenbergブロックを生成できるように設計されています。
現場でのTelex活用事例
マレンウェッグ氏は、コミュニティクリエイターのニック・ハムゼ氏によって構築されたいくつかの実例を披露しました。その中には以下のようなものがあります。
- 価格比較ツール: 以前はカスタム構築が必要だったインタラクティブなウェブ要素が、Telexを使用することでわずか数秒で作成可能になりました。
- リアルタイム情報表示: 小売店の営業時間、電話番号、地図へのリンクなどをWordPressサイトのヘッダーブロックに簡単に追加。
- その他: パートナーロゴのカルーセル、カスタム料金計算ツール、Googleカレンダー連携、投稿カードの高さが均一なホームページの投稿グリッドなど、多岐にわたる機能がTelexによって実現されています。
マレンウェッグ氏は、「以前は何千ドル、何万ドルもかかったであろうカスタムソフトウェアの開発が、今やブラウザ上でわずかな費用でできるようになるのは、まさに驚くべきことです」と、Telexがもたらす開発コストの大幅な削減に言及しました。
WordPressのAI戦略と将来展望
Telexのデモンストレーションに加え、WordPressの他のAI関連イニシアチブも紹介されました。これには、AIシステムがWordPressの機能を解釈できるようにする「Abilities API」と、それらの機能をMCP互換ツール(ClaudeやCopilotなど)に公開する「MCPアダプター」が含まれます。
このアダプターパターンにより、WordPressはロジックの重複や各AIプラットフォームごとの個別統合なしにAIワークフローに参加できるようになると説明されました。また、開発者が既にCursorやClaude Codeなどの次世代CLIツールを通じてAIを日常のワークフローに活用し、プロジェクトのリファクタリング、コードベースの検索、タスクの自動化、WP CLIでのスクリプト実行などを行っていることも強調されました。
2026年には、WordPressがAIモデルがWordPress関連タスク(プラグインの変更、テキスト編集、ブラウザエージェントによるインターフェース操作など)をテストするためのベンチマークと評価を導入する予定であると発表され、WordPressにおけるAIのさらなる進化が期待されます。
