マイクロソフト、多様性・包括性(DEI)の取り組みを静かに後退
マイクロソフトが、長年にわたり推進してきた多様性、公平性、包括性(DEI)への取り組みを静かに後退させていると報じられています。特に、年次DEI報告書の公開を中止し、従業員の業績評価項目から多様性と包括性に関する「中核的優先事項」を削除したことが注目されています。
年次DEI報告書と従業員評価の変更
Microsoftは2019年から毎年、従業員の性別、人種、民族別の内訳に関するデータを公開し、DEIを従業員の業績評価の必須項目としていました。しかし、今年から年次報告書の公開を取りやめ、「よりダイナミックでアクセスしやすい形式、つまり、包括性が行動に現れているストーリー、ビデオ、インサイトに進化」したと説明しています。しかし、この変更は、トランプ大統領が職場におけるDEIイニシアチブを根絶しようとする大統領令を出したわずか数カ月後に行われたため、一部からは批判的な見方が出ています。
内部の従業員向けシステム「Connect」を通じて行われた従業員評価の変更では、「より多様で包括的なマイクロソフトに貢献するために、あなたの行動がどのような影響を与えたか」という質問が削除されました。HR文書からも「多様性(diversity)」という言葉が使われなくなり、「包括性(inclusion)」のみに言及するようになっています。この変更について、一部の従業員は「会社(そしてほとんどの企業)がDEIを簡単に手放したことは、それが常に表層的なコミットメントであったことを証明している」と述べています。
LinkedInチームによるAIアシスタント「Cosio」の内部テスト
マイクロソフトのLinkedInチームが、幹部向けに新しいAIパーソナルアシスタント「Cosio」を内部テストしていることが明らかになりました。Cosioは、同社のグローバルディレクトリにおいて人間の直属の部下と同様に記載されており、「次世代のデジタルワーカー」として社内では説明されています。タスクの自動化、ワークフローの構築、人間や他のAIエージェントとの協業が可能とされています。CosioはMicrosoftの新しい「Agent 365」イニシアチブの一部であり、当初は昨年10月末までに全従業員に展開される予定でしたが、現時点では一部の幹部のみがテストを行っているようです。
Windows 11へのアップグレードに停滞、AIデータセンターの電力消費に懸念
Dellによると、約5億台のPCがWindows 11へのアップグレードを見送っているとされ、Windows 11の導入はWindows 10よりも遅いペースで進んでいます。さらに、同数のPCがWindows 11の厳格なハードウェア要件のためにアップグレードできない状況にあるとのことです。
一方、サティア・ナデラCEOは、AIデータセンターのエネルギー消費量が、AI技術に対する社会の反発を招く可能性があると警告しました。同氏は「我々は、世界に良いことをしているからこそ、エネルギーを消費する社会的な許可を得る必要がある」と述べ、広範な経済成長につながる場合にのみ、電力網への追加的な負担が受け入れられるだろうとの見解を示しています。
Xbox生産のベトナム移転と新しいデモ企業「Zava」
マイクロソフトは、Xbox製造の一部をベトナムの工場に移転する計画を立てています。Foxconnの子会社がベトナムの工場で最大480万台のXboxゲームデバイスを製造する許可を求めていると報じられており、これはトランプ政権による関税の影響を回避する狙いがあると見られています。
また、Microsoftは長年デモやテストに使用してきた架空の企業「Contoso」と「Fabrikam」に代わり、新しい架空の企業「Zava」を導入しています。Zavaは、AIを急速に採用している企業を指す「フロンティア企業」の象徴として位置づけられており、MicrosoftのAIへの変革を反映しています。
元記事: https://www.theverge.com/tech/838079/microsoft-diversity-and-inclusion-changes-notepad
