幹部退任の発表と新たな法務顧問の登用
Appleは、幹部人事がさらに進展していることを発表しました。長年法務顧問を務めてきたケイト・アダムス氏が来年末に、また環境・政策・社会イニシアチブ担当副社長のリサ・ジャクソン氏が2026年1月末にそれぞれ退任することが明らかになりました。この動きは、AI担当責任者のジョン・ジャンナンドレア氏の退任、デザイン担当重役のアラン・ダイ氏のMetaへの移籍に続くものです。
同時に、Appleはジェニファー・ニューステッド氏を新たな法務顧問として迎えることを発表しました。ニューステッド氏は2026年3月1日付で就任し、ティム・クックCEO直属となります。彼女はMetaで最高法務責任者を務めた経験を持ち、それ以前は米国務省の法務顧問として外交問題に関する法的助言を行うなど、政府要職を歴任しています。
相次ぐ要職からの離脱
最近数ヶ月間で、Appleでは複数の主要幹部の退任が発表されています。主な離脱者は以下の通りです:
- ジョン・ジャンナンドレア氏:AI担当責任者(マイク・ロックウェル氏が後任)
- アラン・ダイ氏:デザイン担当重役(Metaへ移籍、スティーブン・ルメイ氏が後任)
- ジェフ・ウィリアムズ氏:最高執行責任者(COO、サビ・カーン氏に職務が移行)
- ケ・ヤン氏:AI駆動型ウェブ検索担当重役(Metaへ移籍)
- ルオミン・パン氏:AIモデル担当元責任者(Metaへ移籍)
背景にある課題:規制、AI競争、そしてデザイン
アダムス氏の在任中、Appleはアプリ市場の競争促進を巡る独占禁止法規制や訴訟の増加に直面しました。一方、ジャクソン氏は2013年の入社以来、Appleの気候変動対策、持続可能性、環境影響、そしてDEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組みを主導してきました。しかし、これらの取り組みはトランプ政権下で企業からの支持が失われつつあります。
また、これらのリーダーシップ変更は、AppleがAI競争で遅れをとっているとの見方や、デザイナーから同社の細部へのこだわりが失われているという批判が高まる中で起こっています。特に、AI搭載Siriのリリース延期や、一部のAI機能をGoogleのモデルに依存する計画は、同社のAI分野における課題を浮き彫りにしています。
Appleのティム・クックCEOは、ジャクソン氏の貢献を高く評価し、「彼女は2015年比で世界の温室効果ガス排出量を60%以上削減する上で不可欠な存在だった」と述べています。
