EU、デジタルサービス法違反でXに1億4千万ドルの罰金 – 初の制裁措置

EU、デジタルサービス法違反でXに初の制裁

【2025年12月5日】欧州連合(EU)は、イーロン・マスク氏率いるソーシャルメディアプラットフォーム「X」(旧Twitter)に対し、EUのデジタルサービス法(DSA)に違反したとして、1億2,000万ユーロ(約1億4,000万ドル)の罰金を科したと発表しました。これは、オンラインプラットフォーム上の「違法かつ有害な活動」を抑制するために制定された画期的なDSAの下で、企業に罰金が科される初めての事例となります。

この制裁は、2023年12月にEUがXに対して開始した多角的な調査の結果として下されました。

罰金の詳細と違反内容

今回の罰金は、主にXの「欺瞞的なデザイン」、特に青いチェックマークシステムに関するものです。EUのテック担当委員であるヘンナ・ヴィルックネン氏は、「青いチェックマークでユーザーを欺き、広告の情報を不明瞭にし、研究者を締め出す行為は、EUのオンライン環境に容認されません」と述べ、DSAがユーザーを保護し、オンライン環境への信頼を回復すると強調しました。

2024年7月には、EUはXが広告の透明性、研究者へのデータアクセス、および「ダークパターン」(ユーザーを欺くように設計されたインターフェース機能)に関する義務を遵守していないとする予備的判断を下していました。特に、誰でも料金を支払うことで「認証済み」となれるXの青いチェックマークシステムは、アカウントの信頼性を判断することを困難にしていると指摘されました。

罰金の規模と政治的背景

DSAでは、違反企業に対して全世界収益の最大6%の罰金を科すことが可能です。Xは2022年10月にマスク氏が440億ドルで買収し、さらに2025年3月にはマスク氏の人工知能企業X AIが330億ドルで再買収しているため、その非公開企業としての性質から、潜在的な最大罰金がどれほどであったかは不透明です。

Xはこの罰金に対して異議を申し立てることも、DSAの遵守に関する懸念を解消するための変更を実施することでEUとの和解に至ることも可能です。報道によると、欧州の規制当局は、他の企業への警告としてXを例に挙げることを目指す一方で、ドナルド・トランプ大統領(当時)との貿易紛争の最中、同氏の報復を招くリスクも考慮していました。マスク氏や米国の主要テクノロジー企業の幹部らは、大統領に対し、EUが自社企業を不当に扱わないよう働きかけていました。

継続中の調査と今後の影響

2023年の調査は、Xのコンテンツモデレーション慣行や、プラットフォーム上での違法かつ有害なコンテンツの拡散についても焦点を当てており、これらは現在も継続中です。EUは、マスク氏による買収後、X上での偽情報のレベルが増加していることに対し、批判的な姿勢を示しています。今年1月には、EUの議員らが、マスク氏がドイツの極右政党指導者をプラットフォームで宣伝したことへの懸念から、Xの調査を「精力的に」推進すると表明していました。


元記事: https://www.theverge.com/news/645154/eu-fines-x-dsa-violations-xai-elon-musk