AppleからOpenAIへの人材流出が加速、幹部級の退職も相次ぐ

AppleからOpenAIへの大量人材流出

最近数ヶ月間、数十名に及ぶAppleのエンジニアやデザイナーが競合のOpenAIへと移籍していることが、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道で明らかになりました。LinkedInのデータ分析からも、この人材流出が大規模かつ特定の分野に集中していることが示唆されています。

OpenAIのハードウェア事業強化とAppleの技術損失

OpenAIに移籍した元Appleの従業員には、ウェアラブルデバイスの工業デザイン、iPhone、AirPods、Apple Watchなどのプラットフォームレベルのオーディオ技術に貢献した人物が含まれています。また、複数の個人がロボット工学の経験を積んでいることも明らかになりました。OpenAIは来年、初のハードウェアデバイスを発売する予定であり、Appleから流入するこれらの専門知識は、同社のハードウェア部門強化に大きく貢献すると見られています。

幹部級の相次ぐ退職とCEO引退の噂

人材流出は技術者レベルにとどまらず、Appleの幹部級にも及んでいます。Metaは最近、長年のAppleデザイナーであるアラン・ダイ氏を含む複数のApple従業員を採用しました。さらにAppleは、以下の主要幹部の退職を発表しています。

  • シニアバイスプレジデント兼法務顧問:ケイト・アダムス氏
  • 環境・政策・社会イニシアチブ担当バイスプレジデント:リサ・ジャクソン氏
  • AIチーフ:ジョン・ジャンナンドレア氏

また、今年初めには最高執行責任者(COO)のジェフ・ウィリアムズ氏と最高財務責任者(CFO)のルカ・マエストリ氏も退任しています。ティム・クックCEOについても、来年中の退任準備を進めているとの憶測が浮上しており、Appleはリーダーシップ層の大きな変動期を迎えているようです。

OpenAI、ChatGPTの「コードレッド」宣言と改善の動き

一方、人材を獲得している側のOpenAIでは、サム・アルトマンCEOがChatGPTの品質改善に向けて「コードレッド」を宣言し、広告計画を一時延期しています。同社は、GoogleやAnthropicなどの競合に後れを取らないよう、ChatGPTの品質向上に注力しており、ユーザーごとのパーソナライゼーションや画像生成機能の改善が必要であると述べています。Appleからの優秀な人材が、OpenAIのこれらの喫緊の課題解決に貢献する可能性も考えられます。

IT業界の新たな競争とAppleの課題

Appleが主要な技術者や幹部をOpenAIやMetaといったAI分野のフロントランナーに奪われている現状は、IT業界におけるAI技術開発競争の激化を浮き彫りにしています。AppleはiPhone 17の記録的な需要や今後のMacBookラインナップの拡充など、依然として強い市場競争力を持っていますが、人材流出と幹部の相次ぐ退任は、同社が今後どのように革新を続け、競争優位性を維持していくかという点で、大きな課題を突きつけています。


元記事: https://www.macrumors.com/2025/12/05/apple-bleeding-talent-to-openai/