AWS re:InventはAI一色、顧客はまだ準備できていない可能性

AWS re:Invent、AIへの全面的なコミットメント

Amazon Web Services(AWS)の年次技術カンファレンス「re:Invent」は、クラウドインフラ大手である同社がAIに全面移行していることを明確に示しました。AWSは、新しいAIエージェントや更新された大規模言語モデル(LLM)から、LLMおよびエージェント構築機能を備えた製品まで、数十もの発表を行いました。エンタープライズ向けのAIはどこでも見られましたが、顧客も同様に熱心なのでしょうか?

企業のAI投資とリターンの現状

AWSのCEOであるマット・ガーマン氏は、基調講演で企業がまだAI投資からのリターンを見ていないことを認めました。しかし、彼はその状況が急速に変わろうとしていると考えています。ガーマン氏は、「AIエージェントの登場により、AIの軌跡は転換期を迎えています」と述べ、「これは技術的な驚異から、私たちに真の価値を提供するものへと変化しています。この変化は、インターネットやクラウドと同じくらいあなたのビジネスに大きな影響を与えるでしょう」と語りました。

アナリストの見解:期待と課題

アナリストたちは、AWSの技術発表に感銘を受けたものの、それがエンタープライズAIの導入を大きく推進したり、AI競争におけるAWSの地位を変えたりするには十分ではないと見ています。現在のAIモデル市場では、Anthropic、OpenAI、Googleが圧倒的なリードを保っています。AWSは、インフラと独自のAIトレーニングチップを社内に持つという利点を持っていますが、Forresterの主席アナリストであるナヴィーン・チャブラ氏は、TechCrunchに対し、AWSのAI発表は同社が「あまりにも先を行き過ぎている」ことを示しているとメールで伝えました。

チャブラ氏は、「ほとんどの企業はまだAIプロジェクトを試験段階にあり、AWSが提供するこれらの発表から利益を得るために期待する成熟度には達していません」と述べています。今年8月の広く引用されたMITの調査では、企業の95%がAIからの投資リターンを得られていないことが判明しています。

「AIファクトリー」とインフラの優位性

Zacks Investment Researchのエクイティストラテジストであるイーサン・フェラー氏は、今回のイベントでAWSが最も宣伝したNova AIモデル、エージェント、モデル構築機能よりも、インフラに関する発表が印象的だったとTechCrunchの電話インタビューで語りました。彼は、顧客が自身のデータセンターでAWS AIを実行できる新しいイニシアチブである「AWS AIファクトリーは本当に魅力的」だと評価しました。フェラー氏は、「AWSはモデルが実行される場所において巨大なプレイヤーであり、クラウド業界では支配的です。それがAmazonの真の専門知識が活かされる場所だと私は思います。彼らの専門知識をさらに強化することは良いことです」と付け加えました。

フェラー氏は、AWSがAIで垂直統合的なプレイを試みていることを評価する一方で、すべてのAI技術を自社で行うよりも、AnthropicやNvidiaのような他のAIプレイヤーとのパートナーシップの方が理にかなっているかもしれないと考えています。

AI市場の変動に強いAWSの基盤

これらの課題にもかかわらず、AWSはAIセクターで市場シェアを確保し、中核事業を成長させ続けるための良い位置にいます。業界をリードするクラウドプロバイダーとしてのAWSの地位は、AI市場で何が起ころうとも堅固なビジネス基盤を提供します。これは、AIのトレンドが何であれ、業界の技術の基盤を提供しているためです。もしAI業界が一部で言われているようなバブルに終わったとしても、第3四半期に114億ドルの営業利益を記録したAWSは、他の企業に比べてマイナスの影響を受けにくいでしょう。これにより、AWSはAI市場における自身の役割が将来どうなるかについて、実験と反復を行う余地があります。そのため、たとえ企業が今日の技術にまだ準備ができていなくても、AWSはそれを改善し続けるべきです。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/05/aws-reinvent-was-an-all-in-pitch-for-ai-customers-might-not-be-ready/