衝撃の発表:RoombaのiRobotが破産、中国企業が買収
家庭用ロボット掃除機の代名詞であるRoombaを製造するiRobotが、米連邦破産法11条の適用を申請し、大きな波紋を呼んでいます。このニュースに続き、iRobotは長年の契約製造パートナーであった中国のPicea Roboticsに買収されることが明らかになりました。
Picea Roboticsは、iRobotが抱える1億9,000万ドルのローンを肩代わりし、さらにiRobotに対する1億6,150万ドルの製造債務を放棄することで、iRobotを完全に傘下に収めることになります。この取引は、ロボット掃除機市場の勢力図を大きく塗り替えるものとして注目されています。
Picea Roboticsとは何か?ロボット掃除機製造の巨人
では、Roombaの新たな親会社となるPicea Roboticsとはどのような企業なのでしょうか。正式名称は「Shenzhen Picea Robotics」で、「3irobotix」としても知られています。同社は、ロボット掃除機の分野における世界有数のODM(Original Design Manufacturer:相手先ブランドによる設計・生産)企業です。
Picea Corp.のウェブサイトには、iRobotのほか、SharkやAnker(Eufyブランドの親会社)といった有名ブランドがパートナーとして記載されており、その技術力と生産能力の高さがうかがえます。最近では、Dysonの新型ロボット掃除機「Dyson Spot & Scrub Ai」もPiceaが製造しているとの噂がRedditを中心に広まっています(The VergeはDysonとPicea双方に確認を求めています)。
iRobotとPiceaの関係性、そしてRoombaの変貌
iRobotとPiceaの関係は、2024年1月にまで遡ります。Amazonによる買収計画が破綻した後、iRobotは製造コスト削減のため、中核でないエンジニアリング部門を海外に移転し、Piceaを製造委託先に選びました。
しかし、この戦略転換は新たな課題を生みました。Piceaと提携後に発売されたRoombaの新ラインナップ(505、205など)は、従来のRoombaが持つ「DNA」をほとんど持たず、汎用的なLidarベースのロボット掃除機にRoombaのブランド名を冠しただけのように見えると指摘されていました。実際に筆者もこれらの新モデルをテストしましたが、期待外れの性能に終わったと述べています。
Piceaの技術力と市場への影響
Piceaは中国とベトナムにR&Dおよび製造施設を有し、これまでに2,000万台以上のロボット掃除機を製造・販売してきた実績があります。昨年には、自社ブランド「3i」を立ち上げ、そのフラッグシップモデルである「3i S10 Ultra」は、
- 独自の節水システム(除湿器で清水タンクを満たす)
- スマートな汚れ検出技術(緑色の光で汚れを特定し、繰り返し洗浄)
といった革新的な機能を備え、高い評価を得ています。
iRobotは破産後も通常通り事業を継続するとしていますが、Piceaの傘下に入ったRoombaの将来は不透明です。今回の買収は、ロボット掃除機市場における中国ブランドおよびメーカーの支配力がますます強まっている現状を明確に示しています。
元記事: https://www.theverge.com/news/844474/who-is-picea-robotics-company-owns-irobot
