米エネルギー省、75億ドル規模のクリーンエネルギープロジェクトを突如中止 – 政策の不確実性が浮上

政策転換の波紋:クリーンエネルギープロジェクト大規模中止

米エネルギー省(DOE)は水曜日の夜、主にクリーンエネルギーに焦点を当てた321件のプロジェクト、総額75億6000万ドル相当の助成金を取り消したと発表しました。この決定は、特に前回の選挙でカマラ・ハリス氏に投票した州に集中しており、政策の不確実性がクリーンエネルギー分野に与える影響が懸念されています。

DOEは影響を受ける223件のプロジェクトリストを公表していませんが、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、同州の水素ハブ「Alliance for Renewable Clean Hydrogen Energy Systems」に対する12億ドルの助成金が含まれていることを明らかにしました。この大規模な中止は、クリーンエネルギーへの移行を目指す各州にとって大きな打撃となる可能性があります。

影響を受ける州とプロジェクト

助成金が取り消された州は以下の通りです。

  • カリフォルニア州
  • コロラド州
  • コネチカット州
  • デラウェア州
  • ハワイ州
  • イリノイ州
  • メリーランド州
  • マサチューセッツ州
  • ミネソタ州
  • ニューハンプシャー州
  • ニュージャージー州
  • ニューメキシコ州
  • ニューヨーク州
  • オレゴン州
  • バーモント州
  • ワシントン州

これらの州はすべて前回の米大統領選挙でカマラ・ハリス氏に投票しており、多くが民主党によって州レベルで統治されています。この事実は、今回の決定が政治的な意図を帯びている可能性を示唆しています。トランプ政権下で行政管理予算局長を務めたラッセル・ヴォート氏は、自身のツイートで「左派の気候変動アジェンダはキャンセルされている」と述べ、この動きを擁護しています。

取り消された助成金は、先進研究計画局-エネルギー(ARPA-E)、クリーンエネルギー実証、エネルギー効率・再生可能エネルギー、化石エネルギー、グリッド展開、製造・エネルギーサプライチェーンなど、多岐にわたる部門から授与されていました。特に、助成金の26%は選挙日から大統領就任日までの間に承認されたものでした。

トランプ政権下の政策転換と背景

トランプ政権は、化石燃料からの移行を阻止する意向を公言しており、今回の措置はその一環と見られています。先週には、DOEが職員に対し「気候変動」や「排出量」といった特定の言葉の使用を禁止したことが報じられました。また、今年5月にも、クリーンエネルギーおよび製造業関連の37億ドル相当の助成金が取り消されており、今回の決定は一連の政策転換の最新の動きとなります。

これらの積極的な助成金取り消しは、多くの受給者から政府に対する訴訟を引き起こしています。過去には、環境保護庁(EPA)が200億ドル相当の契約を取り消した際にも同様の訴訟が起こり、連邦地方裁判所はEPAの行動を「恣意的かつ気まぐれ」と判断したものの、控訴裁判所は政府の「適切な監督と管理」を認め、EPAに有利な判決を下すなど、結果はまちまちです。今回のDOEの決定に対しても、すでに複数の受給者が異議申し立てを行っており、今後も法廷闘争が続くことが予想されます。

法的争いと今後の展望

助成金の受給者には、今回の決定に対して30日間の異議申し立て期間が与えられています。しかし、過去の事例を見る限り、法的な解決には時間がかかり、その結果も不確実です。クリーンエネルギー分野への投資と政策の安定性は、国家のエネルギー安全保障と経済成長に不可欠であり、今回のDOEの決定は、これらの側面に対する潜在的なリスクとして注目されるでしょう。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/02/department-of-energy-cancels-7-5b-of-clean-energy-projects-in-harris-voting-states/