はじめに
Microsoftは最近、ゲーム事業の戦略変更から組織再編、新製品発表に至るまで多岐にわたるニュースを発表しました。その中でも、特に注目すべきは、セキュリティとプライバシーに関するいくつかの重要な動きです。本記事では、これらのセキュリティ関連の発表に焦点を当てて解説します。
Microsoft、イスラエル軍へのクラウド・AIサービス提供を一部停止
Microsoftは、パレスチナ市民の大量監視に使用されていたクラウドおよびAIサービスへのイスラエル軍のアクセスをブロックする決定を下しました。この決定は、Microsoftの副会長兼社長であるブラッド・スミス氏が社内メモで発表したものです。ガーディアン紙などが先月報じた、イスラエル政府がAzureに「1時間あたり最大100万件のパレスチナ人からの通話」の記録とデータを保存していたという報道を受けた動きです。
このブロックは、イスラエル国防省内の特定の部隊が使用する「一連のサービス」に適用され、Microsoftがイスラエル政府と結んでいる他の契約には影響しません。この動きは、Microsoftに対し、イスラエル政府との契約を適切に見直すよう求める1年以上にわたる圧力と、同社の50周年記念およびBuild開発者会議中の複数の抗議活動の後に実現しました。
Windows 10 ESU、欧州で無償化へ
Windows 10のサポート終了が間近に迫る中、Microsoftは欧州の一部の市場で、Windows 10の延長セキュリティ更新プログラム(ESU)を完全に無償化することを余儀なくされました。Windows 10は10月14日にサポートが終了しますが、欧州経済圏の一部の顧客は、ESUに登録するためにWindowsバックアップを有効にする必要がなくなります。
Microsoftは当初、追加のセキュリティアップデートを得るために全員にWindowsバックアップを有効にするよう求めていましたが、Euroconsumersグループからの圧力により、この方針が変更されました。Microsoftアカウントでのサインインは引き続き必要ですが、欧州のWindows 10ユーザーは、Windowsバックアップを有効にすることでOneDriveの5GBの無料ストレージを使い切ることを避けることができます。
AIを活用したWindowsアプリ開発の推進
Microsoftは、開発者がWindowsアプリにAIを追加しやすくするWindows MLプラットフォームを正式に立ち上げました。Adobe、McAfee、Topaz Labsなどの開発者がWindows MLの採用に取り組んでおり、AdobeのPremiere ProやAfter Effectsのようなアプリが、セマンティック検索、オーディオタグ付け、シーン編集検出機能にローカルNPUを使用できるようになります。これは、AI機能がWindowsエコシステムに深く統合されることを示しており、新たなセキュリティの考慮事項も生じる可能性があります。
トランプ氏、Microsoft幹部を批判
ドナルド・トランプ前大統領は、Microsoftのグローバルアフェアーズ責任者であるリサ・モナコ氏の解雇を要求しました。トランプ氏は、5月にMicrosoftに入社したばかりのモナコ氏を「腐敗している」「錯乱している」「米国の国家安全保障にとって脅威」と主張しています。トランプ氏は、モナコ氏のMicrosoftでの役割が「非常に機密性の高い情報」へのアクセスを可能にすると主張し、すでにモナコ氏のセキュリティクリアランスを剥奪したと述べています。モナコ氏は、バイデン大統領の下で第39代司法副長官を務め、ガーランド司法長官の下でトランプ氏の連邦起訴を担当していました。
結論
これらの発表は、Microsoftが技術革新と地政学的な課題の両方に対応しながら、セキュリティとプライバシーの分野で重要な役割を果たしていることを示しています。特に、AIの普及とそれに伴うデータ管理、そして国際的な規制や政治的圧力への対応は、今後もMicrosoftの戦略を形成する上で重要な要素となるでしょう。
元記事: https://www.theverge.com/tech/790658/microsoft-xbox-game-pass-console-price-hikes-notepad
