元幹部による不当解雇訴訟と反論
Googleのムーンショットプロジェクトからスピンアウトした量子AIスタートアップSandboxAQが、元幹部による不当解雇訴訟に直面しています。この訴訟は、元最高戦略責任者(Chief of Staff)であるロバート・ベンダー氏が提起したもので、同社の著名なCEOジャック・ヒダリー氏に対し、スキャンダラスな疑惑が多数含まれています。SandboxAQ側は、これを「恐喝的な目的による虚偽の主張」として強く反論しています。
元幹部が主張するスキャンダラスな疑惑
ベンダー氏は、2024年8月から2025年7月までヒダリー氏の最高戦略責任者を務めていました。彼が提起した訴訟では、社内で懸念を表明した後に不当に解雇されたと主張しています。その中には、「性的接触」を伴うとされる出来事や、投資家向けに提示された不正確な財務情報に関する疑惑が含まれています。具体的には、ヒダリー氏が会社の資源や投資資金を「女性との付き合い」のために利用したこと、そして誤解を招くような数字に基づいて数千万ドル相当の株式を売却したという主張がなされています。ベンダー氏は、社内での収益が潜在的な投資家へのプレゼンテーション資料に示された数字よりも50%も低かったと訴えています。
SandboxAQ側の全面的な否定と背景
SandboxAQは、これらの疑惑を「完全な捏造」として断固として否定しています。同社の弁護士であるオリン・スナイダー氏は、TechCrunchに対し、これらが「根拠のない主張であり、司法プロセスを悪用した日和見的かつ恐喝的な行為である」と述べています。会社側は、不正な情報開示やCEOによる会社資産の私的流用はなかったと主張し、ベンダー氏が自身の不手際から免れるためにこれらの扇動的な疑惑を作り出したと反論しています。
SandboxAQは、AIと量子コンピューティングを専門とするスタートアップで、Googleの親会社Alphabetのムーンショット部門から誕生しました。2022年3月に独立企業としてスピンアウトして以来、元Google CEOのエリック・シュミット氏(同社の会長も務める)をはじめ、セールスフォースCEOのマーク・ベニオフ氏、著名投資家のジム・ブライアー氏、ブリッジウォーター創業者のレイ・ダリオ氏など、数々の大物投資家から出資を受けています。ベンダー氏の訴訟には、昨年7月にThe Informationが報じた、ヒダリー氏が会社資源を女性のために使用したことや、収益が予測を下回っていたという調査報道に類似した内容も含まれており、関連性が注目されています。
量子AIスタートアップの資金調達と評価額
このような論争があるにもかかわらず、SandboxAQは昨年、大規模な資金調達に成功しています。昨年4月には、レイ・ダリオ氏、ホライズン・キネティクス、BNPパリバ、Google、Nvidiaなどから、シリーズEラウンドで4億5,000万ドル(約675億円)以上を調達しました。また、9,000万ドルのセカンダリーセールも発表しています。同社によれば、これまでの総調達額は10億ドル(約1,500億円)に達し、PitchBookの推定では企業評価額は57億5,000万ドル(約8,625億円)にも上るとされています。
