Billy Woodsのホラーコア傑作『Golliwog』:A24映画を彷彿とさせる暗黒の世界

はじめに:Billy Woodsの卓越したキャリア

ラッパーのBilly Woodsは、ソロ作品『Hiding Places』や『Maps』、ElucidとのユニットArmand Hammerでの共作など、数々の傑作を世に送り出し、ヒップホップ界で高い評価を得ています。彼の作品は決して軽快なものではありませんが、最新作『Golliwog』は、その中でも最も暗いレコードとして注目されています。

A24的なホラーコアの深化

『Golliwog』は、一般的なホラーコアとは一線を画します。Geto Boys、Gravediggaz、Insane Clown Posseのようなスラッシャー映画的な美学やショック戦術を用いるのではなく、Billy Woodsが作り上げたのは、Bumhouse作品よりもA24映画に近い、心理的な恐怖です。

例えば、オープニングトラック「Jumpscare」は、映画のフィルムが回り始める音や不気味なオルゴールの音で始まり、「Ragdoll playing dead. Rabid dog in the yard, car won’t start, it’s bees in your head.」という不穏な歌詞が続きます。しかし、曲の終わりには、「英語という言語は暴力だ。私はそれを盗み、操った。主人の道具を手に入れ、調整したのだ」というwoodsの声明とも取れる言葉が投げかけられ、単なるギミックを超えた深い心理描写へと引き込まれます。

緊張感を生み出すプロダクション

このレコード全体を通して、Woodsはプロデューサーたちと共に、安易な恐怖ではなく、リスナーを不安にさせるような緊張感を巧みに作り出しています。具体的な例として、以下のようなトラックが挙げられます。

  • 「Waterproof Mascara」:女性のすすり泣きがリズミカルなモチーフとして使われています。
  • 「Pitchforks & Halos」:Kenny Segalが作り出すサウンドは、まるで連続殺人犯の主観視点ショットを聴いているかのようです。
  • 「All These Worlds are Yours」:DJ Haramがプロデュースしたこの曲は、初期のインダストリアル音楽(Throbbing Gristleなど)に通じる要素を持っています。
  • 「Golgotha」:ブームバップドラムとニューオーリンズの葬儀用ホルンが組み合わさり、独特の世界観を形成しています。

リアルな恐怖と社会的なコメント

緻密で時に散漫なプロダクションは、現実世界の恐怖、すなわち抑圧や植民地主義といったテーマと、個人的な情景とが対比的に描かれた歌詞と結びついています。例えば、「Trapped a housefly in an upside-down pint glass and waited for it to die.」といった描写があります。

また、「Corinthians」では、自慢げな言葉から一転して、ガザでの大量虐殺に背を向ける人々への警告へとシームレスに移行します。「If you never came back from the dead you can’t tell me shit / Twelve billion USD hovering over the Gaza Strip / You don’t wanna know what it cost to live / What it cost to hide behind eyelids / When your back turnt, secret cannibals lick they lips」という歌詞は、Billy Woodsの鋭い洞察力と社会批判の精神を如実に示しています。

結論:Billy Woodsの円熟したリリシズム

『Golliwog』は、Billy Woodsの最も巧みなリリシズムが光る作品です。対立と哲学、恐怖と感情のバランスが見事に取られており、聴く者に強烈な印象を与えます。この傑作は、Bandcampをはじめ、Apple Music、Qobuz、Deezer、YouTube Music、Spotifyなどの主要なストリーミングサービスで視聴可能です。


元記事: https://www.theverge.com/column/860372/billy-woods-horrorcore-masterpiece-golliwog-a24