ディープグラム、1.3億ドル調達で評価額13億ドルに到達し、YC支援のAIスタートアップを買収

はじめに:音声AI市場の活況とDeepgramの躍進

近年、セールス、マーケティング、カスタマーサポート、および消費者向けアプリケーションにおける音声AIの活用が急速に拡大しています。この高まる需要を背景に、モデルプロバイダーは事業を拡大し、投資家からの関心も集めています。本日、音声AI企業のDeepgramは、AVPが主導するシリーズCラウンドで1億3,000万ドル(約190億円)を調達し、評価額が13億ドル(約1,900億円)に達したことを発表しました。同時に、同社はY Combinatorが支援するAIスタートアップ「Ofone」の買収も明らかにしました。

資金調達の詳細と投資家の期待

今回のシリーズCラウンドでは、AVPがリードインベスターを務め、既存投資家であるAlkeon、In-Q-Tel、Madrona、Tiger、Wing、Y Combinatorに加え、Alumni Ventures、Columbia University、Princeville Capital、Twilio、SAPといった新たな投資家も参加しました。これにより、Deepgramの総調達額は2億1,500万ドル(約310億円)を超えました。

AVPのパートナーであるエリザベス・デ・サン・アイニャン氏は、企業がAIをどのように活用しているかについて調査した際、音声AIが頻繁に話題に上ったと述べています。特に2024年には、コンタクトセンターや営業開発といったプロセスで音声AIが利用されていることが判明し、Deepgramがその主要な技術提供元であることが明らかになったといいます。同氏は、音声AIが企業のコスト削減と顧客体験の向上に貢献し、Deepgramがその中心的な役割を果たすと期待を寄せています。

Deepgramの技術と市場での存在感

Deepgramは、テキスト音声変換(Text-to-Speech)および音声テキスト変換(Speech-to-Text)に関連する多数のモデルを提供しており、会話型音声認識や低遅延での割り込み処理に対応するプラットフォームおよびAPIも手掛けています。同社の音声AI製品とモデルは、会議メモ作成ツールのGranola、音声エージェントスタートアップのVapi、Twilioを含む1,300以上の組織で利用されています。

DeepgramのCEOであるスコット・スティーブンソン氏は、昨年同社がキャッシュフロー黒字であり、今回の資金調達は必ずしも必要ではなかったと説明しました。しかし、音声AIが主流となり、さらなる成長加速のために「より大規模な投資を早期に行うことができる」という判断から、このタイミングでの資金調達を決断したとのことです。同氏はまた、音声AIとその技術的な複雑さを理解し、関連企業との強力な関係を持つ戦略的な投資家を求めていたと強調しました。

成長戦略とOfone買収

Deepgramは、今回の資金調達を活用してグローバルな事業展開を拡大し、多言語サポートを強化していく方針です。特に、音声AIを活用したレストラン分野への注力も計画しており、その一環としてY Combinatorが支援するOfoneを買収しました。Ofoneは、クイックサービスレストラン(QSR)向けに音声AIを活用した注文システムを開発しており、その注文認識精度は93%以上に達するとされています。

レストラン業界における音声AIの導入には課題も存在します。昨年、タコベルの音声AI実験では、利用者が1万8,000杯の水のカップを注文するというハプニングも発生しました。しかし、スティーブンソンCEOは、音声AIによる食品注文が「3億人以上のアメリカ人が音声AIと初めてポジティブな接点を持つ機会になるかもしれない」と期待を表明しています。過去20年間で多くの音声アシスタントが登場しましたが、「魔法のような体験」を提供できなかったと多くの人が感じていました。しかし、自然な会話で食品を注文できるようになれば、テクノロジーが真に成熟したと人々が認識するだろうとスティーブンソン氏は語っています。

拡大する音声AI市場の展望

音声AI市場全体でも、大きな資金調達が相次いでいます。昨年には、SesameがシリーズBで2億5,000万ドル、ElevenLabがシリーズCで1億8,000万ドル、Gradiumがシードラウンドで7,000万ドルを調達しました。アナリストのレポートによると、音声市場は年間30%以上の成長率で拡大し、2030年までには140億ドルから200億ドル(約2兆円から2.9兆円)規模の市場に達すると予測されています。このような成長傾向の中で、DeepgramのようなモデルおよびAPIプロバイダーは、企業やスタートアップが音声ソリューションを開発する上での核心的なコンポーネントとなり、数十億ドル規模の企業へと発展していくことが期待されます。


元記事: https://techcrunch.com/2026/01/13/deepgram-raises-130m-at-1-3b-valuation-and-buys-a-yc-ai-startup/