はじめに
2025年は、米国半導体業界にとって激動の一年となりました。老舗企業のリーダーシップ交代、AIチップ輸出規制を巡る継続的な議論、そして新たな関税や国際的な半導体取引など、多くの出来事がありました。2026年の幕開けもまた、予測不可能な一年となる兆候を見せています。本記事では、TechCrunchが報じた2025年の米国半導体業界の主要な動きを月ごとに振り返ります。
2025年12月
- NVIDIA、Groqと提携し黄金期を築く: 12月24日、NVIDIAはチップメーカーGroqとの間で、非独占的ライセンス契約を締結したと発表しました。NVIDIAはGroqの創業者兼社長を含む複数の従業員を雇用し、さらにGroqの資産を200億ドル相当で買収しました。
- 中国向けチップ輸出の緩和: 12月8日、米商務省は、NVIDIAとAMDがAIチップを中国へ輸出することを許可する方針を決定しました。これは以前の方針から大きく転換したもので、特にNVIDIAのH200チップを含む先進的なAIチップが、承認された顧客に販売できるようになりました。
2025年11月
- NVIDIA、快進撃を続ける: 11月19日、NVIDIAは第3四半期決算で過去最高の業績を報告しました。売上高は570億ドルに達し、2024年同期比で66%増加。この収益の大部分は、NVIDIAのデータセンター事業によるものです。
2025年10月
- Intel、プロセッサ開発で進展: 10月9日、Intelは新しいプロセッサ「Panther Lake」を発表しました。これは同社のIntel Core Ultraプロセッサファミリーの一部であり、Intelの18A半導体プロセスで構築され、アリゾナ州のIntel工場で独占的に製造されます。
2025年9月
- 関税の兆候: 9月末には、トランプ政権の半導体関税に関する初期の憶測が流れました。企業が国内で生産するチップの量を国際的な生産量と同等にしなければ、関税の対象となる可能性があるという噂が広まりました。
- 中国、NVIDIAを締め出す: 9月17日、中国は国内企業に対し、NVIDIAのチップを購入しないよう指示しました。これは中国国内のチップ販売を促進するための動きで、中国サイバースペース管理局が地元企業に対してNVIDIAのチップ購入を禁止しました。
- 中国、NVIDIAを批判: 9月15日、中国国家市場監督管理総局は、NVIDIAが2020年のMellanox Technologies買収に関して中国の独占禁止法に違反したと判断しました。
- リーダーシップの刷新: 9月9日、米政府がIntelに株式を保有してからわずか数週間後、Intelは顕著なリーダーシップ変更を行いました。Intel製品の最高経営責任者であったミシェル・ジョンストン・ホルサウス氏が30年のキャリアを経て退社し、新たに中央エンジニアリンググループが設立されました。
2025年8月
- NVIDIA、記録的な四半期を報告: 8月27日、NVIDIAは第2四半期で過去最高の売上を報告しました。データセンター事業の収益が前年比56%増加したことがハイライトです。
- 米国政府がIntelに株式取得: 8月22日、米国政府は既存の政府助成金をIntelへの10%の株式に転換すると発表しました。この取引は、Intelのファウンドリープログラムにおける所有権が50%を下回った場合に、Intelにペナルティを課す仕組みとなっています。
- ソフトバンクがIntelに投資: 8月18日、日本のコングロマリットであるソフトバンクは、Intelに20億ドルの株式を取得すると発表しました。ソフトバンクの孫正義CEOはこの取引を「戦略的」と呼びました。
- チップ企業、中国での販売契約を締結: 8月12日、NVIDIAとAMDは、AIチップを中国で販売するために必要なライセンスを米政府から得る契約を結んだと発表しました。両社は、中国でのチップ販売収益の15%を米政府に支払うことに同意しました。
- トランプ大統領とリップ・ブー・タン氏の会談: 8月11日、IntelのCEOリップ・ブー・タン氏がホワイトハウスでトランプ大統領と会談しました。両者は、米国に半導体製造を回帰させるという目標に対し、Intelがどのように貢献できるかについて議論しました。
- トランプ大統領、リップ・ブー・タン氏を批判: 8月7日、ドナルド・トランプ大統領は、IntelのCEOリップ・ブー・タン氏に対し、「利益相反」を理由に「直ちに辞任する」ようTruth Socialの投稿で要求しました。
- トランプ大統領、業界への関税発表を示唆: 8月5日、トランプ大統領はCNBCのSquawk Boxに対し、半導体業界への関税を翌週にも発表する計画だと述べました。
2025年7月
- Intelが事業部門をスピンアウト: 7月25日、Intelは第2四半期決算発表の翌日、通信業界向けチップを製造するネットワーク&エッジ部門をスピンアウトすると確認しました。この事業部門は2024年に58億ドルの収益を生み出しました。
- Intel、効率性追求を継続: 7月24日、Intelは一部の製造事業を縮小すると発表しました。同社はドイツとポーランドでの以前発表されたプロジェクトを中止し、テスト事業を統合すると述べました。また、年内には従業員数を約75,000人にする計画も発表しました。
- トランプ大統領のAI行動計画: 7月23日、トランプ政権は待望のAI行動計画を発表し、関連する複数の大統領令も公表しました。計画には米国チップ輸出規制の必要性や同盟国との連携に関する記述が多く含まれていましたが、具体的な規制内容については詳細が示されませんでした。
- 画期的なUAEのAI取引が保留に: 7月17日、トランプ政権が5月に推進した、アラブ首長国連邦がNVIDIAから数十億ドル相当のAIチップを購入するという画期的な取引が保留されていると報じられました。これは、米国が国家安全保障上の懸念と、中東から中国へのチップ密輸の懸念を解消しようとしているためです。
- NVIDIAが交渉の切り札に: 7月16日、NVIDIAなどの半導体企業が特定のAIチップを中国に再販する許可を得た翌日、その理由が明らかになりました。米商務省のハワード・ルトニック長官は、米国企業がAIチップを中国で販売することを許可する計画が、レアアース元素に関する米中間の貿易協議と関連していると述べました。
- 米国製チップが中国へ回帰: 7月14日、NVIDIAはH20 AIチップの中国での販売再開申請を提出すると述べ、数週間前の噂を裏付けました。同社はまた、中国市場向けに特別に設計された新しいチップ「RTX Pro」を販売すると発表しました。
- マレーシア、チップ密輸対策を強化: 7月14日、マレーシアは米国製AIチップの貿易許可制度を開始すると発表しました。この新たな規制の下では、個人または企業は米国製AIチップを輸出する前にマレーシア政府に30日前に通知する必要があります。
2025年6月
- Intelが新リーダーシップ体制を発表: 6月18日、Intelは、再びエンジニアリング主導の企業になるという目標達成を支援するため、4人の新たなリーダーシップ任命を発表しました。最高収益責任者に加え、複数の高名なエンジニアが採用されました。
- Intelが人員削減を開始: 6月17日、各種メディア報道によると、Intelは7月にIntel Foundry部門で大規模な人員削減を開始しました。同社は後に、組織再編であることを確認しました。報道では、この事業部門の従業員の15%から20%が削減される計画だとされました。
- NVIDIA、中国に関する報告を中止: 6月13日、NVIDIAのジェンセン・フアンCEOは、米国がAIチップ輸出規制を緩和しないことを受け、今後、中国市場を将来の収益および利益予測に含めないことを発表しました。
- AMD、Untether AIのチームを買収: 6月6日、AMDは、AI推論チップを開発するUntether AIのチームをアクハイヤーしました。これは、同社がAI製品群を強化し続ける中での買収です。
- AMD、NVIDIAのAIハードウェア支配に挑む: 6月4日、AMDはAIソフトウェア最適化スタートアップBriumを買収しました。この買収は、多くのAIソフトウェアがNVIDIAハードウェア向けに設計されている現状を考慮すると、当然の動きと言えます。
2025年5月
- NVIDIA、チップ輸出規制の影響を公表: 5月28日、NVIDIAは、H20 AIチップの米国ライセンス要件により、第1四半期に45億ドルの費用が発生したと報告しました。同社は、これらの要件が第2四半期には80億ドルの収益減につながると予測しました。
- AMD、Enosemiを買収: 5月28日、AMDはシリコンフォトニクススタートアップEnosemiを買収し、買収攻勢を開始しました。
- 米中間の緊張が高まる: 5月21日、中国の商務省は、5月13日に発表された米国のガイダンスに対し、強い不満を表明しました。このガイダンスは、ファーウェイのAIチップを「世界中のどこでも」使用することが米国チップ輸出違反にあたると警告するものでした。
- Intel、事業部門の売却を開始: 5月20日、Intelはネットワーク&エッジ部門(2024年の収益54億ドル)の売却を検討していると報じられました。
- バイデン政権のAI拡散規則が正式に失効: 5月13日、バイデン政権の「人工知能拡散規則(AI Diffusion Rule)」が施行されるわずか数日前に、米商務省はこれを正式に撤回しました。
- 土壇場での方針転換: 5月7日、「人工知能拡散の枠組み」が施行されるわずか1週間前、トランプ政権は異なる道を歩むことを計画していました。
2025年4月
- Anthropic、チップ輸出規制への支持を再確認: 4月30日、Anthropicは米国製チップ輸出規制への支持を再確認しました。
- Intelでの計画的な人員削減: 4月22日、第1四半期決算発表に先立ち、Intelは21,000人以上の従業員を削減する計画であることを発表しました。
- トランプ政権、チップ輸出をさらに制限: 4月15日、NVIDIAのH20 AIチップに対し輸出ライセンス要件が課されたと、同社がSECへの提出書類で開示しました。
- NVIDIA、さらなるチップ輸出規制を回避か: 4月9日、NVIDIAのジェンセン・フアンCEOがドナルド・トランプ氏のマー・ア・ラゴ・リゾートでの夕食会に出席しているところが目撃されました。
- IntelとTSMCの合意か: 4月3日、IntelとTSMCが共同チップ製造事業を立ち上げるための暫定合意に達したと報じられました。
- Intel、非中核資産の売却を警告: 4月1日、CEOリップ・ブー・タン氏は、Intelが非中核資産を売却し、カスタム半導体などの新製品開発に注力すると発表しました。
2025年3月
- Intelが新CEOを任命: 3月12日、Intelは業界ベテランで元役員のリップ・ブー・タン氏が3月18日付でCEOに就任すると発表しました。
2025年2月
- Intelのオハイオ工場、再び建設遅延: 2月28日、Intelはオハイオ州での初のチップ製造工場の建設を再び減速させました。現在、280億ドルの半導体プロジェクトは2030年まで建設が完了せず、2031年まで稼働しない可能性があります。
- 上院議員、チップ輸出規制強化を要求: 2月3日、エリザベス・ウォーレン上院議員とジョシュ・ホーリー上院議員を含む米上院議員らは、ハワード・ルトニック商務長官候補に書簡を送り、トランプ政権にAIチップ輸出規制をさらに強化するよう要請しました。
2025年1月
- DeepSeek、オープンな「推論」モデルをリリース: 1月27日、中国のAIスタートアップDeepSeekは、オープン版のR1「推論」モデルをリリースし、シリコンバレーに大きな波紋を広げました。
- ジョー・バイデン大統領のチップ輸出に関する大統領令: 1月13日、退任まで残り1週間というところで、ジョー・バイデン前大統領は米国製AIチップに関する新たな広範な輸出規制を提案しました。
- Anthropicのダリオ・アモデイ氏、チップ輸出規制について言及: 1月6日、Anthropicの共同創設者兼CEOであるダリオ・アモデイ氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、既存のAIチップ輸出規制を支持しました。
元記事: https://techcrunch.com/2026/01/21/a-timeline-of-the-u-s-semiconductor-market-in-2025/
