Instagramは「コンテンツ」を求めるが、ユーザーはただ写真を投稿したいだけ

はじめに:写真共有アプリの変貌

かつてシンプルな写真共有アプリとして親しまれたInstagramが、今や「コンテンツ」作成プラットフォームへと大きく変貌を遂げています。The Vergeのシニアレビュアー、アリソン・ジョンソン氏が指摘するように、単に写真をアップロードするだけでも、その道のりは「地雷原」と化しているのが現状です。

ストーリー、投稿、リールといった形式の選択から始まり、音楽、キャプション、プロンプト、投票、さらには募金機能まで、ユーザーは無数の選択肢に直面します。ジョンソン氏は、Metaの担当者に対し「ただ写真共有アプリを返してほしい」と切実に訴えています。

「コンテンツ」の押し付けとユーザーの困惑

現在のInstagramアプリは、まるで「トレンチコートを着た3つか4つのアプリ」のようだと表現されています。かつてのInstagramを象徴するグリッド投稿に加え、Snapchatから着想を得たストーリーズ、そしてTikTokの流行を追ったリール機能が混在しています。

Metaは、ユーザーを常に新しい機能へと誘導しようとします。例えば、初めてリールを投稿する際には、ストーリーズへの追加を促されるなど、アプリは過去10年間にわたって追加されてきた様々な機能とのエンゲージメントを絶えず要求してきます。ジョンソン氏は、これらの「体験」が多すぎるとし、その複雑さに「うんざりしている」と述べています。

筆者は、自身の「社会実験」として、可能な限り多くの機能を有効にして写真を投稿しました。画像にテキストを重ね、別の画像をオーバーレイし、推奨された楽曲を追加し、フィルターを適用し、ライティングを調整し、Meta AIを使ってキャプションをプロンプトに書き換えようと試みました。しかし、最終的に出来上がった投稿は「耐え難いもの」であり、もはや「写真」ではなく、大文字の「コンテンツ」と呼ぶべきものになっていました。

エンゲージメント重視の代償

Instagramは、私たち全員を「自分の小さな人生のコンテンツクリエイター」と見なし、フォロワーに「いいね!」やコメント、購読を促すことを期待しています。ジョンソン氏は、子供のビーチの写真を投稿し、それに合わせて曲を流したいというユーザーの気持ちは理解できるとしつつも、個人的にはそうしたくないと述べています。しかし、Instagramはエンゲージメントの名の下に、写真を飾り立てる機会をアプリに詰め込み続けています。

アプリの進化は避けられないものですが、ジョンソン氏は「優雅に年を重ねる方法」と「Metaアプリ」には大きな違いがあると指摘します。Instagramは、過去10年間の「スクロールを続けさせる」ための努力の集大成として、肥大化してしまったのです。

ジョンソン氏は、Metaに対して「シンプルな写真共有体験を返してほしい」という無料のアイデアを提案しています。それは別のアプリである必要はなく、「エルダーミレニアルモード」のようなモードでも良いと。ただ写真をアップロードし、フィルターを適用して一日を終える、そんなシンプルな体験を多くのユーザーが求めているのです。

まとめ

Instagramは、その進化の過程で、ユーザーが求めるシンプルな写真共有の喜びから遠ざかってしまいました。今日のInstagramは、単なる写真の共有ではなく、「コンテンツ」の公開という重い意味合いを持つようになっています。この変化が、多くのユーザー、特に初期からのユーザーにとって、フラストレーションの源となっていることは明らかです。


元記事: https://www.theverge.com/tech/791595/instagram-uploading-features-content