概要
テスラの保険部門が、カリフォルニア州保険局(CDI)から顧客への保険金請求処理において「著しい遅延」と「組織的欠陥」を指摘され、強制措置の対象となりました。CDIは、テスラが数年にわたる警告にもかかわらず、保険金請求の拒否や遅延を常態化させていると非難しています。
規制当局からの告発
CDIによると、テスラの保険部門は、提携先のState National Insurance Companyと共に、「意図的な不公正な保険金請求処理慣行」に関与しており、プロセスの「あらゆる段階での著しい遅延」や「不合理な拒否」を行っているとされています。これにより、保険契約者に「経済的損害」と「苦痛」を与えていると指摘されています。
特に懸念されるのは、2025年に入ってからの状況の悪化です。CDIは、テスラ関連企業が「2025年には、過去3年間を合わせたよりも多くの苦情、正当な苦情、そして違反を犯している」と述べています。
問題の経緯と対応
CDIがテスラにこれらの問題を初めて提起したのは2022年でした。当時、テスラとState Nationalは、請求量の過小評価と必要な人員の不足を認め、増員を約束しました。2023年には一時的に改善が報告されたものの、2024年には消費者からの苦情と「法規制違反が著しく増加」していることがCDIによって確認されました。
苦情件数は、2022年の83件から2024年には829件に急増し、そのうち775件で州保険法違反が認められました。さらに、2025年9月22日までに、CDIはテスラに対する1,481件の苦情を受け付け、1,969件の保険法違反を特定しています。これにより、2022年以降のテスラの州保険法違反の総数は約3,000件に上るとされています。これらの違反の大部分は、義務付けられている15日以内の顧客対応の不履行に関連しています。
深刻化する状況と法的影響
今回の強制措置により、テスラとState Nationalは、違反行為ごとに最大5,000ドル、意図的な違反の場合は最大10,000ドルの罰金を科される可能性があります。また、7月には、テスラが意図的に保険金支払いを遅延・最小化したとして、集団訴訟が提起されており、CDIはテスラの行動が「潜在的な第三者賠償責任リスク」を生み出した可能性も指摘しています。
これは単なる運営上の問題に留まらず、顧客の信頼と企業の法的責任に関わる重大なセキュリティ上の懸念として捉えられています。テスラは、当初「革命的」な製品として宣伝した保険事業において、規制当局からの厳しい監視と法的措置に直面しており、その対応が注目されます。
結論
テスラの保険部門が直面している「著しい遅延」と「組織的欠陥」に関する告発は、同社の顧客サービスとコンプライアンス体制における深刻な問題を示唆しています。規制当局からの度重なる警告にもかかわらず状況が悪化していることは、企業の信頼性に大きな打撃を与える可能性があります。今後のテスラとState Nationalの対応、そして法的措置の行方が注目されます。