ストーカーウェアアプリの深刻な危険性:繰り返される情報漏洩
他者のスマートフォンを監視・追跡するための「ストーカーウェア」アプリは、その危険性が繰り返し浮き彫りになっています。最新の事例では、uMobixがハクティビストの標的となり、50万以上の顧客の決済情報が流出しました。これらのアプリは、嫉妬深いパートナーなどが遠隔で標的の携帯電話にアクセスするために利用されますが、その結果として極めて機密性の高い個人データが大量に漏洩する事態が頻発しています。
TechCrunchの集計によると、2017年以降、少なくとも27ものストーカーウェア企業がハッキングまたはデータ漏洩の被害に遭っており、中には複数回被害を受けた企業も存在します。これは、プライバシーを侵害するだけでなく、利用者のデータをも危険に晒す、まさに「諸刃の剣」であることを示しています。
歴史が語るストーカーウェアの脆弱性
ストーカーウェアのデータ漏洩は、2017年のRetina-XとFlexiSpyのハッキングから始まりました。ハクティビストたちは、この業界の倫理的な問題に抗議し、その破壊を目的として行動を起こしています。彼らは「毒性のある非倫理的な業界を暴き、破壊する」と公言し、実際に企業閉鎖に追い込まれたケースもあります。
過去の主なデータ漏洩事例は以下の通りです:
- 2017年: Retina-X、FlexiSpy
- 2018年: Mobistealth、Spy Master Pro、SpyHuman、SpyFone、Family Orbit、mSpy、Xnore、Copy9、TheTruthSpy
- 2019年: MobiiSpy
- 2020年: KidsGuard
- 2021年: pcTattletale
- 2022年: Xnspy、TheTruthSpy
- 2023年: Spyhide、TheTruthSpy、LetMeSpy、WebDetetive、OwnSpy、Oospy
- 2024年: mSpy、pcTattletale、TheTruthSpy、WebDetetive、Spytech
- 2025年: Cocospy、Spyic、Spyzie、SpyX、Catwatchful
- 2026年: Xnspy、uMobix
これらの漏洩により、テキストメッセージ、通話記録、写真、連絡先、位置情報、さらには決済情報など、数百万人の被害者の極めて個人的なデータがインターネット上に晒されてきました。
ハクティビストの標的と企業の不誠実な対応
これらのデータ漏洩は偶然ではありません。サイバーセキュリティの専門家であるエヴァ・ガルペリン氏は、ストーカーウェア業界を「甘い標的」と評しています。これらの企業の多くは、自身の製品の品質やセキュリティに対して真剣に取り組んでおらず、それがデータ漏洩を招く原因となっています。
ハッキングによって閉鎖に追い込まれた企業もありますが、多くの場合、同じオーナーや開発者がブランド名を変更して再登場するという不誠実な実態があります。これは、根本的な問題解決ではなく、責任逃れに過ぎません。例えば、SpyhideやSpyFoneの背後には、閉鎖後に再び活動を開始した同じ関係者がいると指摘されています。
利用の減少と新たな監視トレンド
幸いにも、2023年の報告ではストーカーウェアの使用が減少傾向にあるとされています。これは、セキュリティ企業による検出能力の向上や、ユーザーからの否定的なレビューが増えていることが一因と考えられます。しかし、同時に監視の手段が変化している可能性も指摘されています。GPS追跡機能を持つAirTagなどのBluetoothトラッカーを利用した物理的な監視が増加していることも懸念材料です。
ガルペリン氏は、「ストーカーウェアは真空の中に存在するわけではない。テクノロジーによって可能になる虐待の世界の一部である」と述べ、この問題の根深さを強調しています。
ストーカーウェアは「使うべきではない」
結論として、ストーカーウェアの使用は絶対に避けるべきです。
主な理由は以下の通りです。
- 非倫理的かつ違法: 多くの法域で、他者の同意なしに監視することは違法行為とみなされます。
- データセキュリティの欠如: ストーカーウェア企業は、顧客データと標的の個人データの両方を保護する能力がないことを繰り返し証明しています。
また、子供の監視目的での使用についても、合法であるか否かにかかわらず、その倫理性が問われます。専門家は、同意なしの監視は避けるべきであり、より安全で透明性の高い、AppleやAndroidデバイスに組み込まれたペアレンタルコントロール機能を利用することを推奨しています。
ストーカーウェアは、人間関係を破壊し、プライバシーを侵害し、そして最終的には関わる全ての人々のデータを危険に晒す、極めて有害なツールです。
元記事: https://techcrunch.com/2026/02/09/hacked-leaked-exposed-why-you-should-stop-using-stalkerware-apps/
