GPD Win 5、有線接続で携帯ゲーム機の性能を再定義か? – 高性能の裏に潜む課題

はじめに:GPD Win 5の登場

Steam Deckなどのライバル機が市場を賑わす中、GPDが新たな高性能携帯ゲーム機「GPD Win 5」を発表しました。本機は「コードを研究した」というコンセプトで、従来の携帯ゲーム機の常識を覆す可能性を秘めています。価格帯は1,600ドルから2,200ドルと高価ですが、その性能は注目に値します。

前例のない性能:AMD Strix Haloチップ搭載

GPD Win 5は、AMDの最新チップ「Strix Halo」を搭載し、史上最もパワフルな携帯ゲーム機と評されています。Framework Desktopにも採用されているこのチップは、統合型グラフィックスで最高のゲーミング性能を実現。これにより、『Cyberpunk 2077』や『Returnal』などの最新タイトルを1080p/Ultra設定で60fps以上で動作可能にしています。

「コード・ファースト」設計の革新と代償

本機の最大の特徴は、本体にバッテリーを内蔵せず、電源コード接続またはバッテリー「バックパック」を装着する設計です。これにより、本体の軽量化と、より高い電力供給(最大80W)を実現し、競合機を圧倒する性能を引き出しています。しかし、バッテリー駆動では最大60Wの電力消費で、わずか45分程度のプレイ時間しか得られません。バッテリーバックパック装着時は2ポンド超、取り外せば1.25ポンドと、携帯性には大きなトレードオフが生じます。

性能比較:競合を凌駕するGPD Win 5

MSI Claw 8 AI PlusやLenovo Legion Go 2といった最新の競合機と比較しても、GPD Win 5は大幅に高いフレームレートを記録しています。特に高TDP設定や有線接続時には、その性能差は顕著です。例えば、『Cyberpunk 2077』の1080p Ultra設定(有線接続時)では、GPD Win 5が79fpsを記録する一方、MSI Claw 8 AI PlusとLenovo Legion Go 2は共に25fpsに留まります。ただし、低TDP設定ではバッテリー持続時間が短くなるため、ユーザーは性能と持続時間のバランスを考慮する必要があります。

プロトタイプ段階での懸念点

重要な注意点として、レビューされたのは初期プロトタイプであり、いくつかの問題が報告されています。

  • TDP変更時やDCバレルジャックの抜き差し時に発生するシステムフリーズ
  • バグのあるタッチスクリーンドライバー
  • きしむトリガー

これらの安定性に関する懸念が指摘されており、GPDがクラウドファンディングを通じて製品を販売する企業であるため、これらの初期問題が最終製品でどこまで改善されるかが注目されます。

結論:未来の携帯ゲーム機か、ニッチな選択肢か

GPD Win 5は、携帯ゲーム機の性能の限界を押し広げる画期的な製品です。しかし、その革新的な設計と高価格、そして初期プロトタイプで報告された安定性の問題は、購入を検討する上で考慮すべき点となります。「コード・ファースト」というアプローチが、最も要求の厳しいPCゲーマーにとって新たなカテゴリを確立するか、今後の動向が注目されます。


元記事: https://www.theverge.com/games/791460/gpd-win-5-corded-handhelds