買収の概要
Firefly Aerospaceは、防衛分析企業SciTecを約8億5,500万ドル(現金3億ドル、新株5億5,500万ドル)で買収することに合意したと発表しました。この取引は2025年末までに完了する見込みで、Fireflyが国家安全保障市場における主要なプレーヤーとなるための道を開くものです。
SciTecの専門分野と実績
プリンストンに拠点を置くSciTecは、防衛および情報機関の顧客向けに、ミサイル警報・追跡システム、宇宙領域認識ツール、および高度な分析を提供しています。同社は今年初め、宇宙軍からミサイル探知衛星用の地上システム開発で2億5,900万ドルの契約を獲得しており、その技術力と実績が評価されています。6月末時点での年間収益は1億6,400万ドルに達しています。
Fireflyの戦略的転換
今回の買収は、FireflyのIPOから約2ヶ月後に行われました。IPO時の評価額は約100億ドルでした。Fireflyは、従来の打ち上げ・宇宙船製造業者から、垂直統合型防衛請負業者へと自社の位置付けを再編する取り組みの一環として、この買収を進めています。特に、ペンタゴンが「ゴールデン・ドーム」ミサイル防衛プログラムを含むミサイル追跡および早期警戒システムにおいて、より多くの商業パートナーを求めている現状を鑑みると、SciTecを傘下に収めることはFireflyにとって非常に有利に働くでしょう。
今後の展望
取引完了後、SciTecはFireflyの子会社として運営され、現在のCEOであるジム・リソウスキー氏が引き続きその指揮を執ります。この統合により、Fireflyは防衛分野におけるプレゼンスを大幅に強化し、国家安全保障のニーズに応える能力を高めることが期待されます。