概要:AIチップ市場の新たな競争
AMDは、AIデータセンター向けにOpenAIと5年間の戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。この提携は、現在Nvidiaが圧倒的なシェアを誇るAIチップ市場における支配に挑戦することを目的としています。契約に基づき、OpenAIはAMDから合計6ギガワット相当のGPUを購入する予定です。
最初の展開として、2026年後半にはAMD Instinct MI450 GPUが1ギガワット規模で導入される見込みです。AMDはこの契約により「数百億ドル規模の収益」を見込んでおり、この発表を受けて同社の株価は市場前取引で24%上昇しました。
OpenAIの多角的な戦略とNvidiaとの関係
今回のAMDとの提携は、OpenAIが先月Nvidiaと発表した「戦略的パートナーシップ」に続くものです。Nvidiaとの契約では、OpenAIは少なくとも10ギガワットのAIデータセンターをNvidia製GPUで展開する予定であり、NvidiaはOpenAIに最大1,000億ドルを投資する可能性も示唆されています。Nvidiaが「優先戦略的コンピューティングおよびネットワーキングパートナー」と位置づけられているのに対し、AMDは「コア戦略的コンピューティングパートナー」と表現されており、OpenAIが複数の主要ベンダーと関係を構築していることが伺えます。
AMDとの契約には、OpenAIが特定の目標達成に応じて、AMD株の約10%に相当する最大1億6,000万株を1株あたり1セントで取得するオプションも含まれています。
- OpenAI CEOのサム・アルトマン氏は、「このパートナーシップは、AIの可能性を最大限に引き出すために必要なコンピューティング能力を構築する上で大きな一歩となる」とコメントしています。
- AMD CEOのリサ・スー氏は、「このパートナーシップは、AMDとOpenAIの最高の技術を結集し、世界で最も野心的なAI構築を可能にし、AIエコシステム全体を前進させる真のウィンウィンをもたらす」と述べています。
パートナーシップ拡大の背景
OpenAIは、今年1月にMicrosoftとの独占的パートナーシップを調整し、他のクラウドプロバイダーともコンピューティング能力に関する契約を結ぶことが可能になりました。これにより、OpenAIは多様なハードウェアベンダーとの提携を進め、AIインフラの強化を図っています。また、OpenAIとMicrosoftは9月に「拘束力のない覚書」を発表しており、これはOpenAIが将来的に株式公開する道を開く可能性も示唆しています。
元記事: https://www.theverge.com/news/792650/amd-openai-five-year-ai-chip-agreement