Sugar Free Capital、MIT出身の早期ステージ創業者を支援する3,200万ドルのファンドを設立

Sugar Free Capitalが3,200万ドルの初回ファンドを調達

ベンチャーキャピタル企業であるSugar Free Capitalは、3,200万ドル(約48億円)の初回ファンドのクローズを発表しました。このファンドは、マサチューセッツ工科大学(MIT)出身の早期ステージの創業者に特化して投資を行います。

創業者シーナ・ジンダル氏の背景とファンド設立の動機

Sugar Free Capitalの創業者であるシーナ・ジンダル氏は、ボストンで育ち、MITを卒業後、ボストンコンサルティンググループ、Bessemer、Comcast Ventures(CV)で投資家としてのキャリアを積んできました。彼女は昨年、MIT出身の技術系創業者への投資に焦点を当てた自身のファンド、Sugar Free Capitalを立ち上げました。

ファンド名の「Sugar Free」は、2021年当時の「高すぎるバリュエーション」に対するジンダル氏の懸念から生まれました。彼女は、当時の投資機会を「甘すぎる(too sugary)」と表現し、より現実的な評価での投資を目指しています。

「知性の時代」とMITのシステムエンジニアリング思考

ジンダル氏は、過去数年間のイノベーションが最適化に焦点を当てていたのに対し、現在は「知性の時代」に突入していると考えています。この時代を捉えるためには、以下の2つの要素が不可欠であると彼女は語ります。

  • 技術系創業者:特にMITがもたらす「システムエンジニアリング思考」を持つ人材。
  • 集中:ベンチャーリターンは、選ばれた少数の勝者に集中するという歴史的データに基づいています。

MITに焦点を当てるもう一つの理由は、ハーバードやスタンフォードとは異なり、MIT出身の早期ステージ投資家が少ないという点です。MITの卒業生は金融業界に進むことが多いものの、その多くはヘッジファンドや後期ステージ投資といった「より定量的な役割」に就く傾向があります。

投資戦略と今後の展望

Sugar Free Capitalは、15社の早期ステージ企業に投資を計画しており、すでに4社への投資を完了しています。投資額は1社あたり100万ドルから500万ドルの範囲です。

ファンドの主な焦点はAIネイティブインフラであり、四半期ごとに新しいテーマを設定しています。今四半期は、物理AI、データセンター最適化、AIエージェントに焦点を当てています。これまでに、防衛企業、ゲーム企業、ワークフロー自動化企業に投資を行っています。

ジンダル氏は、年間4〜5件の投資を目指しており、創業者への直接アプローチや紹介からのインバウンドが多いものの、コールドアウトリーチも歓迎しています。

多くのGP、特にソロの女性GPにとって資金調達が困難な環境であったにもかかわらず、ジンダル氏は今回のファンド設立に成功したことを幸運だと感じています。LPは、彼女のファンドがMITの優秀な人材へのアクセスを提供し、明確な投資テーマを持っている点を評価しました。

ジンダル氏は、「私たちは、AIネイティブテクノロジーという新しい世界秩序と、過去のインフラやビジネスモデルとの間の移行期にいます。インフラ、テクノロジー、そして人間体験の観点から、これら二つをいかに調和的に組み合わせることができるかを見るのが楽しみです」と語り、今後の展望に期待を寄せています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/06/sugar-free-capital-raises-32m-inaugural-fund-to-back-early-staged-mit-founders/