バリ・ワイス氏、CBSニュースの「ガラスの崖」へ:組織と評判の危機管理

CBSニュースの「ガラスの崖」に立つバリ・ワイス氏

ジャーナリストのエリザベス・ロパット氏が、バリ・ワイス氏のCBSニュース経営陣への就任を「破滅的な選択」と警告するメモを発表しました。ロパット氏は、ワイス氏が「死にゆく企業」の経営という、最も困難な職務に自ら飛び込んだと指摘し、これを「ガラスの崖」の典型例と表現しています。この役職は、上層部と部下の双方から非難され、最終的には放送テレビニュースの終焉を管理する役割を担うことになると予測されています。

ワイス氏は、ヤフーのマリッサ・メイヤー氏やバイスのナンシー・デュバック氏、ツイッターのリンダ・ヤッカリーノ氏といった、困難な状況で経営を任された女性リーダーたちと比較され、その立場はさらに厳しいとされています。彼女の採用は、トランプ政権への融和策であり、避けられないメディア統合後のコスト削減の一環として、最終的にはニュース部門の閉鎖とレイオフの波を監督することになるだろうと見られています。

衰退する放送テレビとプラットフォームの脅威

放送テレビは緩やかに衰退の一途を辿っており、その高齢化する視聴者は減少傾向にあります。若年層はTikTokやInstagramからニュースを得るようになり、既存のメディアに対する信頼も低下しています。特にCBSはプライムタイムの視聴者層が最も高齢であり、ワイス氏が若年層を取り戻すという目標は達成不可能であり、彼女の真の仕事は「衰退の管理」であると指摘されています。

TikTokのようなプラットフォームは、CBSニュースのような伝統的な機関を侵食する存在です。TikTokでのコンテンツ収益化は、広告やブランドとの直接的な統合を通じて行われ、これは由緒あるニュース組織の価値観や倫理と真っ向から対立します。たとえTikTokのアルゴリズムを攻略できたとしても、機関の魂を破壊せずに生き残るだけの収益を上げることはできないと警告されています。

著名なタレントと社内政治の管理リスク

ワイス氏が直面するもう一つの大きな課題は、「タレント」の管理です。視聴者が知っていて好意を抱いている著名なテレビタレントは、不満があればワイス氏を食い物にするでしょう。彼らは自己中心的で、高額な報酬を好み、指図されることを嫌います。ワイス氏のこれまでの経歴からは、彼らを管理するために自身が裏方に徹する能力があるとは考えにくいとされています。

さらに、CBSニュースのニュース部門は「野心的なピラニア」で構成されており、ワイス氏には彼らを統率するための信頼性や人間関係が不足しています。彼女はウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズでの論説委員としての経験はありますが、テレビ業界での数十年の経験を持つ彼らとは異なり、報道経験が皆無であるという致命的な弱点があります。メディア記者たちはすでに「狼の群れのように」彼女を取り囲んでおり、彼女が報道に介入したり、AIによる「バイアス測定器」を導入しようとしたりすれば、すぐにメディアにリークされるだろうと予測されています。

政治的圧力と評判の危機

ワイス氏の就任は、トランプ政権への融和策として、メディア統合を円滑に進めるためのものと見られています。この政治的な背景は、彼女の立場を極めて不安定なものにしています。合併が完了した瞬間、彼女は「使い捨て」の存在となる可能性が高いと指摘されています。

特に、ガザ情勢に関する報道は、ワイス氏にとって評判の大きなリスクとなります。アメリカの半数以上がイスラエルのガザでの行動を「行き過ぎ」と考えており、「シオニスト狂信者」と公言するワイス氏が、不十分な報道を行った場合、その責任は彼女に帰せられるでしょう。彼女の明確な偏見のため、この分野のニュースでは「勝ち目がない」とされています。

結論:避けられない破滅への道

ロパット氏は、ワイス氏が直面する状況は「不利な条件が積み重なっている」と結論付けています。Truth Socialの投稿が彼女のキャリアを終わらせる可能性、AIによる「スロップ」の誤掲載、大量離職、あるいはMAGA支持のインフルエンサーによる広告主への嫌がらせキャンペーンなど、彼女のキャリアを終わらせる方法は無数に存在します。ワイス氏には、この困難な状況を乗り切るためのスキルが不足しており、彼女のキャリアは避けられない破滅へと向かっていると警告されています。


元記事: https://www.theverge.com/business/793525/bari-weiss-cbs-news-glass-cliff