Apple CarPlay Ultraの現状と進化
今年初めにAppleが待望の次世代車載ソフトウェアシステム、CarPlay Ultraをリリースしてから約5ヶ月が経過しました。この革新的なシステムは、車両のインストルメントクラスターやシステムとのより深い統合を実現し、ラジオや空調制御用の内蔵アプリ、後方カメラフィードのサポートなど、多岐にわたる機能を提供します。接続されたiPhoneはアプリ関連データを提供し、車両からは現在の速度、燃料レベル、タイヤ空気圧、エンジン温度などの情報が共有されます。インターフェースは各車両モデルと自動車メーカーのアイデンティティに合わせて調整され、ドライバーは様々なプリセットデザインオプションから選択可能です。
現在、CarPlay Ultraは米国およびカナダの新型アストンマーティン車に限定されています。この深いシステム統合は、利便性向上の一方で、車両の基幹システムと外部デバイス間のデータ連携におけるセキュリティとプライバシーの考慮事項を浮上させています。
今後の展開:対応を表明したブランド
高価なラグジュアリーカーに限らず、CarPlay Ultraは今後、より手頃な価格の車両にも拡大する予定です。Appleは5月に、Hyundai、Kia、GenesisがCarPlay Ultraの提供を計画していると発表しました。また、Porscheも引き続き提供に意欲を示しているようです。Appleは、CarPlay Ultraが「今後12ヶ月以内」、つまり2026年5月までに世界中のより多くの車両に拡大し始めると述べています。
対応を見送った主要自動車メーカー
一方で、多くの自動車メーカーがCarPlay Ultraの採用を見送る、あるいは計画を撤回しています。Financial Timesの以前の報道によると、以下のブランドがCarPlay Ultraの提供計画がないことを確認しています。
- Audi
- BMW
- Ford(高級ブランドのLincolnも同様と見られる)
- Mercedes-Benz
- Polestar
- Renault
- Rivian
- Volvo
さらに、General Motorsは新型電気自動車で通常のCarPlayの採用を中止しており、Chevrolet、Cadillac、GMCなどのブランドもCarPlay Ultraを見送る可能性が高いとされています。ソフトウェアに特化したTeslaも、CarPlay Ultraを提供する可能性は極めて低いでしょう。これらの決定は、自動車メーカーが自社のインフォテインメントシステムとデータエコシステムを重視する傾向を反映しており、車両データの主権とサイバーセキュリティ戦略における各社の姿勢が浮き彫りになります。
未定のブランドと市場への影響
2022年のWWDCでCarPlayの次世代版を発表した際、Appleは多くの自動車メーカーが提供にコミットしているとリストアップしましたが、そのリストは3年以上前の情報であり、現在は正確ではありません。以下のブランドについては、CarPlay Ultraの対応状況が不明確なままです。
- Honda
- Acura
- Toyota
- Lexus
- Nissan
- Infiniti
- Mazda
- Subaru
- Mitsubishi
- Jaguar
- Land Rover
- Chrysler
- Dodge
- Jeep
- RAM
- Volkswagen
CarPlay Ultraの普及は、自動車のデジタル体験を大きく変える可能性を秘めていますが、その一方で、車両のセキュリティアーキテクチャ、データ管理、そして潜在的な攻撃経路に対する新たな課題も提起しています。自動車メーカーとApple間の連携の進展は、今後の自動車サイバーセキュリティの動向を占う上で重要な指標となるでしょう。
元記事: https://www.macrumors.com/2025/10/09/carplay-ultra-committed-automakers-list/