FlipkartのSuper.money、苦境のJuspayと提携しD2C決済市場へ拡大 – 利便性と信頼性の行方

はじめに:Super.moneyとJuspayの戦略的提携

Walmart傘下のFlipkartから昨年スピンオフしたフィンテック企業Super.moneyが、決済インフラ企業Juspayと静かに提携し、D2C(Direct-to-Consumer)決済市場への進出を加速しています。この提携は、Super.moneyが2026年までに年間収益1億ドルを目指す中で、そのリーチを拡大するための重要な一歩となります。

Juspayの過去の課題と市場の動向

今回の提携は、Juspayが今年初めに主要な決済企業からの反発に直面し、資金調達に影響が出た後、勢いを再構築しようとしている中で実現しました。RazorpayやCashfree Paymentsといった決済ゲートウェイがJuspayから離れ、自社インハウスの決済処理ツールを採用するよう加盟店に促したことで、Juspayは多くの加盟店を失いました。これは、決済インフラの信頼性安定性が市場競争において極めて重要であることを示唆しています。

Super.money Breeze:ワンクリック決済の利便性と潜在的セキュリティ側面

Super.moneyは先週、D2C決済製品「Super.money Breeze」を発表しました。これは、ワンクリック決済体験を加盟店に提供し、ワンタイムパスワードや繰り返しのログインを不要にすることで、オンライン購入を迅速化することを目指しています。TechCrunchの調査によると、このサービスの決済インフラはJuspayが提供しています。

ワンタイムパスワードの省略はユーザーにとって利便性を高める一方で、セキュリティの観点からは、その代替となる強固な認証・不正検知システムが不可欠となります。Super.moneyとJuspayがどのようにこのバランスを取り、ユーザーの安全を確保するかが注目されます。

両社にとっての提携の意義

この提携は、Super.moneyがFlipkartの既存ユーザーベースを超えて、D2Cブランドの間で認知度を高めるのに役立ちます。また、決済プレーヤーが自社インフラを構築・管理する傾向が強まる中で、Super.moneyがJuspayと提携したことは、フルスタックの決済機能をゼロから構築する手間を省き、D2C統合への近道を提供する戦略的な動きと言えます。

Juspayにとっては、主要な決済ゲートウェイからの離反後、インドの加盟店との関係を再構築する上で、Super.moneyのような成長著しいパートナーを得ることは非常に重要です。

Super.moneyの成長と今後の展望

Super.moneyは、2024年6月に決済アプリとしてローンチされて以来、インドのUPI(統一決済インターフェース)アプリでトップ5に入るまでに成長しました。国家決済公社(NPCI)のデータによると、同アプリは8月までの4ヶ月間、毎月2億件以上の取引を処理しています。

また、Super.moneyはインドにおける担保付きクレジットカードの主要発行体の一つとなり、市場シェアの10%を占めています。同社は、低マージンのUPI決済から、クレジットカードや消費者ローンといった収益性の高い金融商品へのユーザー誘導を通じて、収益化戦略を推進しています。

激化する競争と課題

Super.moneyは、Flipkartの流通網を活用することで、マーケティング費用を抑えながら、8,000万人以上のユーザーベースを獲得しています。しかし、同社は2025年末までに年間経常収益約3,000万ドルを達成し、2026年にはその3倍以上を目指す中で、PhonePe、Google Pay、Razorpayといった既存の強力なプレーヤーとの競争激化に直面することになります。

Super.moneyがUPIの規模を、特に融資や決済インフラを通じて持続可能な収益に転換できるかどうかが、Flipkartにとって2番目の主要なフィンテック成功事例となるか、あるいはパートナーであるJuspayが現在直面しているようなエコシステムからの圧力に直面するかの鍵となるでしょう。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/09/flipkarts-super-money-quietly-partners-with-with-troubled-juspay-as-it-expands-its-reach/