ZoraSafe、高齢者のオンライン保護を強化
2025年10月12日、TechCrunch Disrupt 2025に先立ち、高齢者をオンライン詐欺やハッキングから守ることを目的とした新興企業ZoraSafeが注目を集めています。姉妹であるキャサリン・カロウ氏とエリー・キング・カロウ氏によって設立されたZoraSafeは、TechCrunch DisruptのStartup Battlefieldでその革新的なアプリを発表する予定です。
オンラインセキュリティの新たな課題:高齢者の脆弱性
従来のサイバーセキュリティ業界は企業向けが中心であり、一般のインターネットユーザー、特にインターネットやスマートフォンと共に育ってこなかった高齢者は、オンライン上の脅威に対して最も脆弱な層の一つとされています。フィッシング詐欺、マルウェア、ディープフェイクなど、巧妙化する手口から高齢者を守ることは喫緊の課題です。
ZoraSafeの包括的なアプローチ
ZoraSafeは、単に保護機能を提供するだけでなく、ゲーミフィケーションを取り入れたマイクロラーニングを通じて、高齢者が自らセキュリティ意識を高め、脅威を認識できるよう教育することを目指しています。キャサリン氏とエリー氏によると、アプリは1ヶ月以内にリリースされる予定で、個人向けには月額12.99ドル、家族やグループ向けにはより高い料金プランが設定されます。
アプリの主要機能
ZoraSafeアプリの初期バージョンには、以下の機能が搭載される予定です。
- QRコードスキャン機能:マルウェアやフィッシングの脅威がないかQRコードをスキャンします。
- 不審なメッセージのチェック:疑わしいSMSテキストメッセージやメールをZoraSafeに送信し、安全性を確認できます。
- 詐欺情報の共有機能:既知の詐欺や脅威をアプリに共有することで、データベースに追加され、他のユーザーへの警告に役立てられます。キャサリン氏は、「詐欺のソーシャルシェアリングを奨励し、Zoraネットワーク全体に一度に警告を発することで、コミュニティ全体の保護を確実にします」と述べています。
将来のリリースでは、さらに高度な機能が追加される予定です。
- 不審な電話への参加機能:ユーザーが不審な電話を受けた際、ZoraSafeが通話に参加し、AIシステムが詐欺やディープフェイクの通話であるかを検出します。この際、アプリが通話を傍受したり録音したりすることはありません。
- 脅威説明チャット:アプリが脅威を検出すると、チャットが起動し、その脅威の内容と、将来同様の状況にどう対処すべきかをユーザーに説明します。エリー氏は、「アプリと直接やり取りしていなくても、オンラインでの意識が少し高まるように、レジリエンスを構築することが目的です」と語っています。
プライバシーと技術的工夫
ZoraSafeのAIエンジンは、プライバシーを最優先に設計されています。処理の85%はデバイス上で実行され、クラウドでの処理は15%に留まります。クラウドに送信されるデータは、個人情報が「サニタイズ(無害化)された」状態で行われるとエリー氏は説明しています。
また、iOSのアプリ間監視制限を回避するため、ZoraSafeは革新的なアプローチを採用しています。一つは、電話ケースに組み込まれる「NFCステッカー」で、ユーザーはディープフェイクの電話を受けた際や、転倒して介護者に連絡する必要がある場合に、素早くアプリを起動できます。もう一つは、iOSメニューに「ZoraSafeに共有」オプションを設け、テキストメッセージやメールをZoraSafeのシステムに送信できるようにすることです。
将来の展望とTechCrunch Disruptへの招待
ZoraSafeの創設者たちは、将来的にはアプリの対象を子供たちにも拡大し、学校との提携や、スペイン語を皮切りに多言語対応を進める計画です。
ZoraSafeの詳細や、TechCrunch Disrupt 2025に参加する他の多くの企業、講演者について知りたい方は、2025年10月27日から29日までサンフランシスコで開催されるイベントにぜひご参加ください。