はじめに: DVR時代の終焉
デジタルビデオレコーダー(DVR)の代名詞として長年親しまれてきたTiVoが、26年間の歴史に終止符を打ち、DVRハードウェア製造から正式に撤退したことが明らかになりました。この動きは、メディア消費の形態が大きく変化した現代において、一つの時代の終わりを告げるものです。
TiVoの歴史と転換点
Cord Cuttersの報道によると、TiVoはウェブサイトから全てのDVR製品を削除しており、先週同メディアに対し、DVRハードウェアの製造を正式に終了したことを認めています。同社の最後のDVR製品は2019年にリリースされた「TiVo Edge」でした。その後、TiVoは2020年6月にソフトウェア企業Xperiと合併しています。
TiVoはCord Cuttersへの声明で、「2025年9月30日をもって、TiVoはオンラインおよび代理店を通じてのEDGE DVR製品(ハードウェアおよびアクセサリーを含む)の販売を停止します。TiVoおよびそのパートナーは、もはやTiVo DVRハードウェアを製造しておらず、残りの在庫は現在枯渇しています」と述べています。これは、事実上の製造・販売終了を意味します。
市場の変化と撤退の理由
今回の撤退は、長年にわたる市場の変化が背景にあります。ストリーミングサービスの普及により、オンデマンドでの視聴が容易になったこと、そしてケーブルTVプロバイダーが自社のセットトップボックスにクラウドベースのビデオ録画機能を追加したことで、スタンドアロン型DVRの需要は大きく減少しました。
かつては画期的な製品であったTiVoのDVRも、こうした技術革新と消費者の視聴習慣の変化には抗しきれなかった形です。
TiVoの新たな道
DVRハードウェア事業から撤退したTiVoですが、そのブランドが完全に消滅するわけではありません。同社は今後、スマートTVや車載インフォテインメントシステム向けのソフトウェアプロバイダーとして存続していく方針です。Variety誌に対し、TiVoは現在「時代遅れ」となった既存のハードウェア製品のサポートは継続すると述べており、過去のユーザーへの配慮も示しています。
この事業転換は、テクノロジー業界における企業の適応能力と、市場のニーズに合わせた戦略的再編の重要性を示唆しています。
元記事: https://www.theverge.com/news/798997/tivo-stops-dvr-hardware-production-sales