SpaceX、スターベースで独自の消防部門を設立
SpaceXは、広大なスターベース施設における緊急対応を内部化するため、独自のボランティア消防部門を設立しました。これは、同社が急速かつ時に爆発的なロケット開発を行う現場での緊急対応に対する管理を強化する動きと見られています。
設立の背景と目的
テキサス州務長官に6月30日に提出された設立証明書によると、「スターベース・ボランティア消防署」という非営利団体が設立されました。この団体の本部は、SpaceXの主要所在地であるブラウンズビル市の「1 Rocket Road」に置かれています。指名された3人の理事のうち2人はSpaceXの従業員であり、環境衛生安全マネージャーのCody Dye氏と社内弁護士のKevin Bagnall氏です。この設立は、「公共安全教育、火災予防および鎮火サービスの提供のためのシステムと施設の確立を支援、促進、提供する」ことを目的としています。
スターベース市が火曜日に公開した新たな文書では、このボランティア消防署がSpaceXの従業員によって設立されたことが確認されており、新市は市内のすべての人と財産に消防サービスを提供するための契約を締結する予定です。この契約は3年間有効で、その後更新が必要となります。
緊急対応体制の変化
これまでSpaceXは、スターベースでの火災対応を、社内の消防・緊急対応チームと、近隣のブラウンズビル消防署などの地方消防署の協力を組み合わせて行ってきました。しかし、今回の新たなボランティア消防署の設立が、これらの外部機関との関係にどのような影響を与えるかは不明です。
また、スターベース・ボランティア消防署が郡の911緊急派遣システムに接続されているかどうかも不明です。テキサス州消防保護委員会は地方政府の消防署のみを規制するため、ボランティア消防署である同署は規制の対象外となります。
消防法規制と監督の内部化
この新しいボランティア消防署の設立は、スターベースがテキサス州で正式に市として法人化された数ヶ月後に行われました。これにより、SpaceXとスターベース市の関係者(そのほとんどが現在または元SpaceX従業員)は、彼らが占めるテキサス州の一角に対してより大きな権限を行使するようになりました。
この動きは、SpaceXがキャメロン郡内の緊急消防保安官の職への資金提供を終了した時期と一致しています。以前はSpaceXが資金提供していたこの職は、消防安全コンプライアンスのための計画レビューや建物の検査を担当していました。現在、スターベース市は消防法規の監督を自ら行い、SAFEbuilt社のCliff Nevins氏を消防保安官に、Wade Cain氏を建築担当官に任命しています。これは、消防法規の承認を内部化し、緊急対応を企業関連組織に移行させることを示唆しています。
セキュリティとリスク管理
SpaceXのスターベースにおける急速なプロトタイピング開発アプローチは、これまで数多くの火災や爆発事故を引き起こしてきました。例えば、6月にはスーパーヘビーブースターの試験発射後に発生した誤作動により、数マイル先からも見えるほどの大規模な火球が発生し、近隣住民が緊急通報に殺到する事態となりました。幸いにも負傷者は報告されていません。
スターベースの2026会計年度の予算案では、ボランティア消防署にわずか6万ドルが計上されているのに対し、郡との法執行契約には130万ドルが割り当てられています。この予算の不均衡は、消防署の設備やその他の費用をSpaceX自体が大部分を負担している可能性を示唆しており、同社が自社のセキュリティとリスク管理を重視していることがうかがえます。
元記事: https://techcrunch.com/2025/10/14/at-starbase-spacex-is-taking-firefighting-into-its-own-hands/