2025年テクノロジー業界のレイオフ動向:AIと自動化がもたらす変革と課題

2025年のテクノロジー業界を襲うレイオフの波

2025年もテクノロジー業界における大規模な人員削減の波が続いています。独立系レイオフ追跡サイトLayoffs.fyiによると、昨年は549社で15万人以上の雇用が失われましたが、今年に入ってすでに2万2千人以上の従業員が職を失っており、特に2月だけで1万6千人以上もの削減が行われました。

本記事では、2025年に発生したテクノロジー業界のレイオフを包括的にリストアップし、その動向を追跡します。企業がAIと自動化を積極的に導入する中で、これらの人員削減がイノベーションに与える影響、そして「人間の影響」と「イノベーションの進展に伴い何が危機に瀕するのか」を理解することが重要です。

月ごとのレイオフ状況(2025年)

  • 9月: 2,205人以上の従業員がレイオフ
  • 8月: 6,002人以上の従業員がレイオフ
  • 7月: 16,142人以上の従業員がレイオフ
  • 6月: 1,606人以上の従業員がレイオフ
  • 5月: 10,397人以上の従業員がレイオフ
  • 4月: 24,500人以上の従業員がレイオフ
  • 3月: 8,834人以上の従業員がレイオフ
  • 2月: 16,234人以上の従業員がレイオフ
  • 1月: 2,403人以上の従業員がレイオフ

主要企業のレイオフ詳細と背景

各月で報告された主要なレイオフ事例とその背景には、AIと自動化の導入、コスト削減、戦略的転換といった共通のテーマが見られます。特に、セキュリティ関連企業やAI技術を扱う企業での動向は注目に値します。

10月の動向

  • Smartsheet: CEO交代と買収の最中、120人以上をレイオフ。AIシフトが背景にあると報じられています。
  • Google: クラウド部門で100人以上のデザイン職を削減。AIへの投資に注力する戦略転換の一環とされています。
  • Paycom: AIと自動化によるバックオフィス効率化を理由に500人以上をレイオフ。

9月の動向

  • Just Eat: コストと業務の見直しの一環として約450人を削減。自動化とAIの活用を強化しています。
  • Fiverr: 30%にあたる約250人を削減し、より「リーンで高速なAI重視企業」への転換を目指します。
  • ZipRecruiter: テルアビブの開発センターを閉鎖し、約80人を削減。ソフトウェア、データ、AI研究を専門としていました。
  • GupShup: 200人の削減に続き、さらに100人以上をレイオフ。会話型AI企業としてIPOを準備中です。
  • xAI: データアノテーションチームの約3分の1にあたる500人近くを削減。汎用AIから専門AIへのシフトを進めています。
  • Oracle: シアトルで101人、サンフランシスコで254人を削減。
  • Salesforce: サンフランシスコ本社で262人を削減。AIが顧客サポートの役割を削減する可能性について言及しています。

8月の動向

  • Cisco: ミルピタスとサンフランシスコのオフィスで221人を削減。広範な人員削減戦略の一部です。
  • Oracle: サンタクララで101人、シアトルで161人を削減。
  • F5: シアトルとリバティレイクのオフィスで106人を削減。セキュリティおよびアプリケーション配信企業として、グローバルな人員削減の一環です。
  • Kaltura: 10%にあたる約70人を削減。AIを活用した製品の採用拡大を背景に、コスト削減を図っています。
  • Yotpo: グローバル従業員の約34%にあたる約200人をレイオフ。メールおよびSMSマーケティング事業を終了し、AIを活用したツールに投資しています。
  • Windsurf: AIコーディングスタートアップが30人をレイオフし、残りの200人に買収を提案。

7月の動向

  • Atlassian: プラットフォームとツールの強化によりサポートニーズが減少したため、カスタマーサービスおよびサポート部門で150人を削減。CEOは「AI革命」の必要性を強調しています。
  • Consensys: 利益性向上のため、従業員の約7%にあたる47人を削減。ブロックチェーンソフトウェア企業です。
  • Scale AI: 約14%にあたる200人の従業員と500人のグローバル契約社員を削減。
  • Intel: オレゴン州で2,400人近くをレイオフする計画。これは同州の従業員の約20%に相当します。
  • Indeed + Glassdoor: 統合とAIへの注力のため、合計で約1,300人を削減。
  • Eigen Lab: 再編の一環として29人をレイオフ。ブロックチェーン関連のスタートアップです。
  • Microsoft: グローバル従業員の4%未満にあたる9,000人を削減。

6月の動向

  • TomTom: AIシフトに伴う組織再編の一環として、従業員の10%にあたる300人を削減。
  • Google: スマートTV部門を25%縮小し、AIプロジェクトへの投資を増やしています。
  • Intel: Intel Foundry部門で7月から15%から20%の人員削減を計画。自動車事業の縮小も確認されています。
  • Klue: AIを活用したビジネスインテリジェンスソフトウェアを提供するスタートアップが85人をレイオフ。

5月の動向

  • Microsoft: 6,500人以上の雇用を削減。これは全世界の従業員の3%に相当します。
  • Chegg: 学生が従来の教育テクノロジーではなくAIツールを選択するようになったため、22%にあたる248人を削減。
  • CrowdStrike: グローバル従業員の5%にあたる約500人を削減。サイバーセキュリティ企業として、効率化と目標達成のための戦略的計画の一環です。
  • Deep Instinct: 従業員の10%にあたる20人を削減。イスラエルのサイバーセキュリティスタートアップです。

4月の動向

  • Intel: 2万1千人以上、つまり従業員の約20%をレイオフする計画を発表。
  • Zopper: インドのインシュアテックスタートアップが今年に入ってから約100人をレイオフ。

AIと自動化がもたらす業界構造の変化

これらのレイオフの多くは、AIと自動化技術の急速な進展と密接に関連しています。企業は、これらの技術を導入することで業務効率を高め、コストを削減し、より戦略的な分野にリソースを集中させようとしています。しかし、この変化は既存の職務の再定義や、新たなスキルセットの需要を生み出しています。

特にセキュリティの観点からは、AIによる自動化は一部のセキュリティ業務を効率化する一方で、AIシステム自体のセキュリティ確保や、AIを悪用した新たな脅威への対応といった、より高度な専門知識が求められるようになります。人員削減がセキュリティチームの規模や専門性を損なうことなく、新たな脅威に対応できる体制を維持できるかどうかが、今後の重要な課題となるでしょう。

今後の展望

2025年のテクノロジー業界のレイオフは、単なる景気後退の兆候ではなく、AIと自動化が牽引する構造的な変革を示唆しています。企業は効率性とイノベーションを追求する一方で、従業員への影響と、変化する市場環境への適応が求められます。この動向は、テクノロジー業界全体のイノベーションの方向性、そして雇用市場に長期的な影響を与えることになります。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/17/tech-layoffs-2025-list/