はじめに:Facebookの新AI機能
Metaは、米国およびカナダのFacebookユーザー向けに、AIが未投稿の写真にアクセスする新機能を試験的に導入しました。この機能は、ユーザーのカメラロールをAIが分析し、まだFacebookにアップロードされていない写真や動画を「シェアに値する」ものへと加工・提案することを目的としています。
具体的には、ユーザーがオプトインすると、MetaのAIがスマートフォンのカメラロールをスキャンし、未投稿の写真をMetaのクラウドにアップロードします。そして、スクリーンショットやレシート、その他の日常的なスナップ写真の中に埋もれている「隠れた名作」を発掘し、編集やコラージュの形で提案します。ユーザーは、提案された編集内容を保存したり、Facebookで共有したりすることが可能です。
AI学習とプライバシーの懸念
この新機能の導入は、ユーザーのプライバシー、特にAI学習へのデータ利用に関して新たな議論を呼んでいます。以前、Metaは未投稿のプライベート写真がAIのトレーニングには使用されないと述べていましたが、今回の発表ではその方針に変化が見られます。
Metaは、「AIツールでこのメディアを編集することを選択した場合、または共有することを選択した場合を除き、カメラロールのメディアをMetaのAI改善には使用しない」と説明しています。Metaの広報担当者マリ・メルギゾ氏の補足説明によると、提案作成のためにアップロードされたカメラロールのメディアはAI改善には使用されず、ユーザーがAIツールで提案を編集するか、Facebookに公開した場合にのみ、MetaのAI改善に利用される可能性があるとのことです。つまり、ユーザーの未投稿写真はMetaのクラウドにアップロードされ、AIが内容を分析しますが、AIのトレーニングに直接利用されるのは、ユーザーが追加のアクション(編集または共有)を行った場合に限られるとされています。
データ保持と広告利用
この機能では、AIが提案を行うために、カメラロールのメディアが「継続的にクラウドにアップロードされる」とされています。昨年6月の時点では、Metaがこれらのデータを30日以上保持する可能性も示唆されていました。ユーザーのデータがどの程度の期間、どのように保持されるのかは、引き続き注視すべき点です。
一方で、Metaは「ユーザーのメディアが広告ターゲティングには使用されない」と明言しています。しかし、Metaは昨年、2007年以降に成人ユーザーがFacebookやInstagramに投稿したすべての公開写真とテキストをAIモデルのトレーニングに利用していたことを認めており、今回の新機能におけるデータ利用の透明性が求められます。
ユーザーへの提示と今後の展開
ユーザーには「クラウド処理を許可してカメラロールからクリエイティブなアイデアを得る」という形で機能への同意が求められる予定です。しかし、このプロンプトが、AI学習へのデータ利用の可能性についても明確に警告するかどうかは、現時点では不明です。
Facebookは、写真を撮るのが好きだが投稿前に改善したい、あるいは「特別なものを作る」時間がないユーザーを支援するためにこの機能が設計されたと説明しています。この機能は今後数ヶ月以内に順次展開される予定です。