元Scale AIの創業者がMENA地域の重要産業向けAIインフラで900万ドルを調達:1001 AIが始動

中東・北アフリカの重要産業に特化:1001 AIが900万ドルのシード資金を調達

元Scale AIのベテランであるビラル・アブ=ガザレ氏が、中東・北アフリカ(MENA)地域の重要産業向けにAIインフラを構築する新会社「1001 AI」を設立し、900万ドルのシードラウンド資金を調達しました。この資金調達は、CIV、General Catalyst、Lux Capitalが主導し、Chris Ré氏、Amjad Masad氏(Replit)、Amira Sajwani氏(DAMAC)、Khalid Bin Bader Al Saud氏(RAED Ventures)、Hisham Alfalih氏(Lean Technologies)などの著名なエンジェル投資家も参加しています。

MENA地域の巨大な非効率性とAIによる変革

アブ=ガザレ氏は、航空、物流、石油・ガス、建設といった高リスクな分野において、湾岸地域だけでも100億ドル以上の非効率性が存在すると指摘しています。1001 AIは、AIネイティブな意思決定オペレーティングシステムを通じて、これらの非効率性を削減することを目指しています。例えば、空港運営におけるわずかな効率化でも、空港と航空会社の両方に大きなコスト削減をもたらす可能性があります。また、地域のメガプロジェクトの多くが遅延や予算超過に陥っている現状に対し、AIによる効率化が莫大な費用を節約できると期待されています。

物理的運用を自動化するAIソリューションとセキュリティの重要性

1001 AIのシステムは、クライアントの既存ソフトウェアからデータを収集し、運用ワークフローをモデル化し、効率を向上させるためのリアルタイムの指示を発行します。これにより、燃料トラックの経路変更や清掃員の再配置といった作業が、人間の介入なしにAIによって自動的に調整されます。Lux Capitalのパートナーであるディーナ・シャキール氏は、「空港がフライトをどのようにターンアラウンドさせるか、港が貨物をどのように移動させるか、建設現場がどのように運営されるかといった、物理世界の課題を大規模に解決するAIに極めて強気です」と述べています。

特に、航空、物流、石油・ガス、建設といったミッションクリティカルなインフラにおいてAIが意思決定を担うことは、システムの信頼性、堅牢性、そしてセキュリティが極めて重要であることを意味します。AIの誤作動やサイバー攻撃によるシステム侵害は、甚大な経済的損失だけでなく、人命に関わる重大な結果を招く可能性があります。1001 AIが提供するAIインフラは、これらのリスクを最小限に抑え、運用全体のセキュリティとレジリエンスを確保する上で重要な役割を果たすことが期待されます。

今後の展望:MENA地域からグローバルへ

1001 AIは、年内に最初の製品をローンチし、建設業界から展開を開始する予定です。同社は、クライアントと密接に連携し、共同開発スプリントを通じて各運用の現実に合わせてシステムを調整するアプローチを採用しています。アブ=ガザレ氏は、今後5年間で湾岸地域のこれらの産業における主要なオーケストレーションレイヤーとなり、その後グローバルに拡大することを目指しています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/20/scale-ai-alum-raises-9m-for-ai-serving-critical-industries-in-mena/