Cards Against Humanity、SpaceXとの不法侵入訴訟で和解:支援者にはイーロン・マスクの限定カードパックを提供

和解の発表

人気カードゲーム「Cards Against Humanity」の運営会社は、イーロン・マスク氏率いる宇宙企業SpaceXとの間で争われていた不法侵入訴訟について、提訴から1年を経て和解に至ったことを発表しました。この訴訟は、SpaceXがCards Against Humanityが所有する土地に無断で建設資材などを投棄したことが原因で発生していました。

訴訟の背景

この紛争の中心となったのは、テキサス州キャメロン郡のリオグランデ川沿いにある土地です。Cards Against Humanityは2017年、ドナルド・トランプ前大統領の国境の壁建設を阻止するため、15万人からの15ドルずつの寄付(総額225万ドル)によってこの土地を購入しました。しかし、この土地はSpaceXがスターベースロケット複合施設を建設している場所のすぐ隣に位置しており、2024年にはCards Against Humanityが、SpaceXがこの土地に建設機器や資材を不法に投棄したとして訴訟を提起しました。

和解内容と支援者への対応

和解の具体的な条件は明らかにされていません。Cards Against Humanityは当初、1500万ドルの損害賠償を求めており、土地購入に協力した支援者には最大100ドルを支払うことを期待していました。しかし、支援者が現金を受け取ることはなく、代わりにイーロン・マスク氏に関する新しい限定ミニカードパックを受け取ることになります。同社は支援者へのメールで、「イーロン・マスクから現金を得るという、本当に欲しかったものを提供することはできませんが、最高の顧客である皆様に…コメディでお返しします!」と述べています。

Cards Against Humanityの声明と訴訟の意義

Cards Against HumanityはTechCrunchへの声明で、「マスクのようないじめっ子に立ち向かえたことを嬉しく思う。和解を強制できたことを嬉しく思う」と述べました。同社によると、SpaceXは建設機器を撤去し、Cards Against Humanityは「宇宙のゴミや無意味な国境の壁がない、自然な状態に土地を回復させる」作業を進めているとのことです。昨年、同社は支援者に対し、「残念ながら、さらに裕福で、さらに人種差別的な億万長者であるイーロン・マスクが、私たちの背後から忍び寄り、あなたの土地を砂利、トラクター、宇宙のゴミで完全に台無しにした」と伝えていました。

イーロン・マスク氏の訴訟戦略

イーロン・マスク氏は、自身や自身の会社の敵と法廷で戦うことに積極的であることで知られています。かつてテスラ社の「ハードコアな訴訟部門」は、「たとえ負ける可能性が高くても、不当な訴訟に対しては決して降伏/和解しない」と主張していました。しかし、実際にはマスク氏とその会社はしばしば和解しています。今回のCards Against Humanityのケースもその一つであり、今月初めにはX社が元Twitter幹部が提起した訴訟で和解しています。テスラ社もオートパイロット関連の複数の訴訟で和解に至っています。

まとめ

今回の和解は、小規模な企業が巨大企業に対して法的に立ち向かうことの難しさと、その中で得られる「勝利」の形を示しています。Cards Against Humanityは、法廷費用を考慮し、現実的な判断を下したと説明しており、「真実は我々の側にあったが、マスクとSpaceXは簡単に我々を上回る費用をかけることができた」と述べています。この一件は、企業間の紛争における資金力の影響を浮き彫りにする事例となりました。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/20/cards-against-humanity-settles-trespass-lawsuit-against-spacex/