概要:ロシアのためのスパイ活動で少年2人逮捕
2025年9月27日、オランダで17歳の少年2人が、ロシアのためにスパイ活動を行おうとした疑いで逮捕されました。報道によると、彼らはハーグにある欧州刑事警察機構(ユーロポール)、欧州司法機構(ユーロジャスト)、そしてカナダ大使館の近くでWiFiスニッファーデバイスを使用していたとされています。
この少年たちは、メッセージアプリTelegramを通じてリクルートされたと報じられており、オランダの情報機関AIVDからの情報提供を受けて逮捕に至りました。片方の少年は、自宅で宿題を終えている最中に逮捕され、両親は息子のスパイ活動について全く知らなかったと伝えられています。
ユーロポールの反応と捜査の現状
BleepingComputerがユーロポールに確認したところ、広報担当者はこの事件を認識しているものの、同機関のシステムが侵害された兆候はないと述べました。ユーロポールは、「我々はオランダ当局と緊密に連絡を取っており、ユーロポールのシステムが侵害されたという兆候はない。我々は業務と職員のセキュリティを極めて真剣に受け止めており、潜在的なリスクに対処するためパートナーと引き続き緊密に協力していく」とコメントしています。
容疑の重大性から、少年2人は捜査が続く間、少なくとも2週間勾留されることになります。ある少年の父親は、「私たちは子供たちを人生の危険、喫煙、ベイピング、アルコール、薬物から守るように育ててきた。しかし、このようなことについては考えてもみなかった。誰がこれをリスクと考えるだろうか?」と語っています。
エスカレートする若者のリクルートとWiFiスニッファーの脅威
今回の事件は、ドイツなどで見られた、ロシアのエージェントが若者に金銭を支払い、重要インフラへの破壊行為や妨害工作を行わせるという、より低いレベルのリクルート事例からのエスカレーションを示しています。
WiFiスニッファーは、WiFiチャネル上の無線信号を傍受することでワイヤレスネットワークを特定し、トラフィックを傍受できるデバイスです。これらのデバイスは通常、攻撃の偵察段階で使用されます。ロシアのハッカーは、リモートでWiFiネットワークを悪用する能力を実証しており、Volexityの2024年のレポートでは、APT28国家ハッカーが「ニアレストネイバー攻撃」を用いて、近くの組織のWiFi範囲を利用して米国の企業を侵害した事例が報告されています。
この事件は、若者が国際的なスパイ活動に巻き込まれる新たな脅威と、国家機関や重要インフラにおけるWiFiネットワークのセキュリティ対策の重要性を改めて浮き彫りにしています。