英国CMA、AppleとGoogleに「戦略的市場地位」を指定
英国の競争・市場庁(CMA)は水曜日、AppleとGoogleに対し、それぞれのモバイルプラットフォームにおいて「戦略的市場地位(SMS)」を指定したと発表しました。この決定は、両社のオペレーティングシステム、アプリストア、ブラウザ、ブラウザエンジンに影響を及ぼし、規制当局がこの分野での競争を強化するための具体的な措置を講じることを可能にします。
CMAは1月にAppleとGoogleに対する調査を開始し、7月には両社がSMSに指定される可能性を示唆する介入案を提示していました。今回の結論に至るまでに、CMAは150以上の関係者と協議し、AppleとGoogleの両社とも議論を重ねました。
指定の背景とCMAの調査結果
CMAは、AppleとGoogleがそれぞれのモバイルプラットフォームにおいて「実質的で強固な市場支配力と戦略的に重要な地位」を有していると判断しました。調査の結果、以下の点が明らかになりました。
- 英国のモバイルデバイス所有者は、一度選択したエコシステムからAppleまたはGoogleのモバイルプラットフォームに乗り換える可能性が低い。
- 企業は消費者にアプリを届けるために、両社のアプリストアを通じてアプリを配布する必要がある。
- AIのような新技術も、今後5年間の指定期間中にAppleやGoogleの市場支配力を排除する可能性は低い。
CMAのデジタル市場担当エグゼクティブディレクターであるウィル・ヘイター氏は、「AppleとGoogleのモバイルプラットフォームは、経済全体の何千もの企業が何百万もの顧客に製品やサービスを販売するために利用されていますが、プラットフォームのルールがイノベーションと競争を制限している可能性があります」と述べています。
規制の目的と両社の反応
CMAは、プラットフォームをSMSに指定することは不正行為の認定ではないと強調しています。むしろ、これは「モバイルプラットフォームが効果的な競争に開かれ、GoogleとAppleに依存する消費者と企業が公正に扱われていると確信できるように、比例的で的を絞った介入を検討する」ことを可能にするものです。
この決定に対し、AppleとGoogleは反発しています。Appleは、この決定が英国のユーザーにとって、新機能へのタイムリーなアクセスが遅れ、プライバシーとセキュリティが弱まり、分断されたシームレスでない体験につながる可能性があると警告しています。同社は、EUでの規制がApple Intelligenceの機能提供に遅れをもたらした例を挙げています。AppleはTechCrunchに寄せた声明で、「英国がEU式のルールを採用すれば、ユーザーはより弱いプライバシーとセキュリティ、新機能へのアクセス遅延、そして分断され、シームレスでない体験を強いられるでしょう。EUにおける規制がAppleユーザーに与えた影響を見てきた私たちは、英国が同じ道をたどらないよう強く求めます」と述べています。Googleも、この決定の根拠が理解できないとコメントしています。
今後の展望
今回のSMS指定は、英国のデジタル市場における競争環境に大きな影響を与える可能性があります。CMAが今後どのような具体的な介入措置を講じるか、そしてそれがAppleとGoogleのビジネスモデルやユーザー体験にどのような変化をもたらすか、注目が集まります。